22歳の河村勇輝が直面したW杯の壁 ドイツ戦で語った悔しさと「ワクワク」
河村は今大会屈指のPGシュルーダーとマッチアップした 【(C)FIBA】
ドイツは直近の強化試合で、同じアジアの中国を107-58と圧倒している。しかもFIBAが25日発表したパワーランキング(優勝候補予想)第3弾は米国に次ぐ2位。デニス・シュルーダー(トロント・ラプターズ)、フランツ・バグナー(オーランドマジック)といったNBAのスターもいる。世界ランキング35位の日本にとって、無謀なチャレンジだったのかもしれない。
ただ本気で立ち向かった、劣勢でも戦い続けた姿勢にはきっと意味がある。特に若手は「得る」ものもあったはずだ。日本は前半を33-53の大差で終えたが、後半に限れば32-28と盛り返している。日本がW杯で掲げる目標は「アジア勢最高成績とパリ五輪出場権獲得」だが、勝敗が並んだ場合は得失点差も絡む。ドイツに対して望んでいた結果は得られなかったが、次に向けてもがく意地は見せた。
「世界初経験」の若手は?
「エナジーがありすぎだった。そこは良かったと思う。後半の20分は最高だった。波が無くて、誰が入っても同じエナジーだった」
日本の最多得点は渡邊雄太(フェニックス・サンズ)の20点で、それに次ぐのはNBA Dリーグのテキサス・レジェンズでプレーしていた馬場雄大の15点。国際経験はプレー、特にフィニッシュに差を生むポイントに見えた。
一方で今回の日本代表は平均年齢が26.4歳と若く、2019年のW杯中国大会や、21年の東京オリンピックを経験していない主力も多い。そういった選手はまずこのレベルへの適応が必要になる。
22歳の富永啓生はネブラスカ大でプレーする3ポイントシュートの名手だが、この試合は5得点と封じられた。ドイツは彼のシュートを最優先で消しにきていて、そもそも3ポイントシュートを2本しか打たせてもらえていない。
河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)はチーム最年少のポイントガードだ。大学入学直前からBリーグの「特別指定選手」として経験を積み、2022-23シーズンからは東海大を中退してプロ入り。172センチの小兵ながらスキルとバスケIQは圧倒的で、新人王とMVPをダブル受賞する大活躍を見せた。とはいえ育成年代の大会を除くと「世界大会」は初の経験だった。
ターンオーバーが多く、3Pシュートも不発
試合後の河村はこう口にしていた。
「ドイツはスタートダッシュがすごく良かったと思います。僕たちの時間帯もあった中で、簡単なターンオーバーが出たり(して流れが悪くなった)。こういった強豪国には自分たちのいい流れが来たとき、それを保ち続けるためには正確なプレーが必要になってくる。そういった精細さに欠けてしまった部分はあった」