バスケW杯で輝くNBAのスーパースター10選 ドンチッチ、タウンズらがアジアで競演

杉浦大介
 4年に1度のバスケットボールの祭典、ワールドカップの開幕が間近に迫っている。アジア3カ国で開催される今大会には、アメリカのレブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、ケビン・デュラント、ギリシャのヤニス・アデトクンボ、セルビアのニコラ・ヨキッチといった一部の超大物は出場しない。それでもNBAでオールスターの常連となっているようなスーパースターたちが数多く参戦してくることに変わりはない。今回はその中から10選手を選び、魅力と見どころを紹介していきたい。

最大のスターは“スロベニアの神童”ドンチッチ

ルカ・ドンチッチ(スロベニア/ダラス・マーベリックス)

 ヤングスターが揃った今大会でも、最大のビッグネームはスロベニアのファンタジスタ、ドンチッチだろう。ヨーロッパで輝かしい実績を残した甘いマスクの神童は、2018年に渡米。NBAでもすぐに実力を認められ、瞬く間にほんの一握りのスーパースターに数えられるようになった。

 抜群のスキル、パスセンス、シュート力、身体の強さ、バスケIQなどをすべてハイレベルで備えたオールラウンダー。通称“マタドール”がボールを持った瞬間、すべてのゲームはこの選手が絶対軸のショーになる。得点、アシスト、リバウンドなどの3つの項目で10以上の数字をマークする“トリプルダブル”を連発する技量から目を離すべきではない。今大会はまだ24歳のドンチッチのプレーをアジアで目撃できる幸運な時間になる。

実力、スター性を兼ね備えたドンチッチ(右)のプレーは必見だ 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

カール・アンソニー・タウンズ(ドミニカ共和国/ミネソタ・ティンバーウルブズ)

 2015年のドラフト全体1位指名でNBA入りし、期待通りのスコアリング能力を発揮してきた総合力抜群のセンター。恵まれた体格に加え、ボールハンドリング、シュート力、テクニックをすべて装備する。その多才さは2016年のオールスター週末には技術を競うスキルズチャレンジ、2022年には3Pコンテストと異なる種目で優勝していることからも明らかだ。

 2020年4月、新型コロナウイルスで最愛の母を失い、その後のゲームでは「僕の魂ももう死んだよ」と話した。それでも「チームメイトのためにリーダーでいなければならない」と責任感を語り、以降も全力プレーを続けている。

恵まれた体格を備えた総合力抜群のセンター、カール・アンソニー・タウンズ 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(カナダ/オクラホマシティ・サンダー)

 視野の広さ、サイズ、闘争心をすべて併せ持ったスコアリングガード。ルーキー時代にNBAのレジェンド、ドウェイン・ウェイドに「彼は特別な選手だ」と太鼓判を押され、その期待通りに順調に成長してきた。

 2021年夏には早くも5年1億7200万ドルという大型契約を受け取り、昨季初のオールスター出場。名前の頭文字を合わせた“SGA”という愛称もすでに全国区となった。今大会では注目チームの1つであるカナダの得点源として、さらに評価と知名度を高めるかもしれない。

昨季初のオールスター出場を果たした“SGA”。カナダの得点源としての活躍が期待される 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

守護神ゴベア、万能派マルカネン、次期スター候補ギディも見逃せない

ルディ・ゴベア(フランス/ミネソタ・ティンバーウルブズ)

 身長216cm、ウィングスパンは235cmという立派な体格に恵まれたフランスの守護神。NBA最優秀守備選手受賞3度、昨季まで3年連続オールスターという見事な実績を残し、NBAでも最高級の守備的ビッグマンと称されるようになった。ゴール周辺の威圧感はエッフェル塔に例えられるほど圧倒的で、相手の戦術自体を変えさせることも多く、その貢献度は数字以上だろう。近年はゴール周辺の得点力も向上しており、今大会でもフランスの上位進出はゴベアの活躍なしにはあり得ないはずだ。

巨漢センターのゴベアは優勝候補の一角フランスの要だ 【写真:松尾/アフロスポーツ】

ラウリ・マルッカネン(フィンランド/ユタ・ジャズ)

 スムーズな動きからシュートの機会を作り出し、流麗なフォームで自在にロングジャンパーを決める万能派のスコアラー。昨年のユーロバスケットの活躍で弾みをつけると、NBAでも昨季25.6得点、8.6リバウンドで初のオールスター選出を果たす。1年で最も進歩した選手に送られるMIP(Most Improved Player)も受賞し、一躍ライジングスターの仲間入りを成し遂げた。昨季終了後には母国フィンランドで兵役を経験したことでも注目されたマルカネンは、ワールドカップという新たな大舞台でさらに向上した姿を見せられるかどうか。

フィンランドのマルッカネンは、ロングジャンパーを決める万能派スコアラー 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

ジョシュ・ギディー(オーストラリア/オクラホマシティ・サンダー)

 弱冠20歳ながら、スケールの大きなプレーでオーストラリア代表を背負って立つ存在と期待を浴びている。スリムな身体からハイライトを生み出す長身プレーメイカーで、昨季はNBAでの2年目で“トリプルダブル”を8度も達成。特にその鮮やかなパスワークは一見の価値がある。

 同じオーストラリア出身の元NBAプレイヤー、アンドルー・ボーガットも「ギディーはどうプレーすべきかをわかっている。NBAでプレーした最も偉大なオーストラリア出身選手になるだろう」と絶賛。将来性豊かな俊才は今回のワールドカップで世界中にその名を知らしめることになるかもしれない。

ギディーは弱冠20歳ながらオーストラリアの中心的選手としての活躍が期待される 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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