世界中のサッカーファンが信奉する移籍専門記者 ファブリツィオ・ロマーノはなぜ人気者になったのか
イタリア・ナポリ生まれのロマーノ(右)は現在30歳。いまや世界で最も影響力のあるサッカージャーナリストだ 【Photo by Bruno de Carvalho/SOPA Images/LightRocket via Getty Images】
フォロワー数でロマーノを上回るスター選手は4人だけ
「Here we go!」というパワーワードとともに、ファブリツィオ・ロマーノの存在は世界中で認知されるようになった。ツイッターのフォロワー数は1700万人を超える 【ツイッターアカウント@FabrizoRomanoから】
その移籍関連のニュースに関して、世界中のサッカーファンから圧倒的な支持と信頼を集めている情報ソースがある。情報ソースと言っても、新聞社でもなければ放送局でもなく、WEB上のニュースサイトですらない、ツイッターやインスタグラムなどのSNS上にある、単なる個人アカウントだ。そのアカウントの主はファブリツィオ・ロマーノ、30歳のイタリア人ジャーナリストである。
移籍専門記者としてプレミアリーグをはじめ欧州トップレベルの移籍情報を追い続け、1日16時間、17時間にわたってスマートフォンにかじりついて情報収集に明け暮れる傍ら、毎日数十本のニュースをSNSにポストする彼のトレードマークは、移籍の成立を伝える時に使われる「Here we go!」という決まり文句。膨大な数のフェイクニュース、憶測情報やガセネタが飛び交う移籍報道の中で、彼が発信する情報は正確かつ確実、そして何よりも速さという点で他を寄せ付けないレベルにある。ロマーノが「Here we go!」を出せば、それから数時間以内にはほぼ間違いなく移籍が公式に発表されるというのは、もはや世界中のサッカーファンの常識である。
そのSNSフォロワーは、ツイッターアカウント@FabrizoRomanoが1775万人、インスタグラムアカウントfabrizioromは2206万人という圧倒的な数字だ。ツイッターのフォロワー数でロマーノを上回るスター選手は、クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシ、ネイマール、モハメド・サラーの4人だけ。クラブの公式アカウントでもレアル・マドリー、バルセロナ、マンUなど10に満たない。サッカーメディアのアカウントで世界的に最もメジャーなESPN FCやGoal英語版ですらフォロワー数は1000万人前後に留まっている――。そう言えば、この数字のスケール感が伝わるだろうか。
さる7月17日には英国のタブロイド紙『デイリー・スター』が、ロマーノがツイッター・ブルーの広告分配収入で受け取る金額は、月間8万6000ドル(約1200万円)に上るだろうという試算を伝えて話題を呼んだ。
移籍報道のみならずサッカージャーナリズム全体で、世界的規模でこれだけの知名度、注目度、信頼度を得たメディアや個人は、過去には存在しなかった。では彼はいかにして、現在のポジションを築いたのだろうか。
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