今夏の高校野球「フォロー増加数」トップ20は? 波乱&激戦の地方大会を振り返る【20位~11位】

三和直樹

15位:東海大相模(神奈川)

地方大会準決勝敗退

 昨夏の県大会で宿敵・横浜に0対1で敗れたところから再起を図るとともに、退任した門馬敬治監督(現・創志学園監督)の後を受けた原俊介監督2度目の夏だった。大会初戦の2回戦で湘南学院を相手に苦戦を強いられながらも7対5で勝利を収めると、続く3回戦では元石川を25対0、4回戦では慶応藤沢を9対0、さらに5回戦でも桐蔭学園を相手に8対1と打線爆発で3試合連続のコールド勝ち。準々決勝では、桐光学園を相手にエース・子安秀弥(3年)が力投を披露して4対1の勝利を収めた。

 前評判通りに勝ち上がったが、試合前から熱戦が予想された準決勝の慶応戦は、まさかの展開となった。初回に3ランを被弾すると、その後も2本のホームランなどで失点を重ね、1対12で6回コールド負け。昨秋の地方大会準々決勝でも慶応に4対7で敗れていたが、その試合よりも大きな差を付けられる形で最後の夏を終えることになった。この悔しさは新チームが晴らすことになる。

14位:中京大中京(愛知)

地方大会決勝敗退

 春の地方大会でまさかの1回戦敗退となり、ノーシードからの登場となったが、そこから力強く這い上がった。2回戦で岡崎東を13対0、3回戦では豊橋中央を9対2で下す。4回戦では桜丘を相手にタイブレークに突入する僅差のゲームを強いられたが、最後は延長12回裏に4番・大西遼多(3年)のサヨナラ打で4対3の勝利を収めた。

 サヨナラ勝ちで勢いに乗り、5回戦では新城有教館を9対0、準々決勝で杜若を14対1、準決勝では愛知啓成を12対2と3試合連続のコールド勝ち。迎えた決勝の相手は、ライバル校の愛工大名電。初回に3番・山田頼旺(2年)の2ランで先制するも、4回に死球とエラーで走者を背負った先発・中井遥次郎(2年)が逆転打を許すと、8回に山田がこの日2本目のアーチを放ったがあと一歩及ばず。3対4、紙一重の差で敗れ、涙を飲んだ。

13位:近江(滋賀)

昨年の甲子園を沸かせた近江。今夏も聖地に戻ってきた 【写真は共同】

5大会連続の夏甲子園出場(中止となった2020年を挟む)

 夏の甲子園2年連続ベスト4進出の立役者だった山田陽翔(現西武)が卒業しても、勝負強さは変わらなかった。

 新チームとなって迎えた昨秋は地方大会3回戦敗退の悔しさを味わったが、ひと冬越えた今春は優勝を飾る。そして迎えた今夏、2回戦からの登場で伊香を8対1、3回戦では高島を7対0で下すと、投手戦となった準々決勝では、先発の西山恒誠(2年)が比叡山を相手に完封劇を披露して3対0の勝利。続く準決勝では打線が爆発して八幡商を11対1の6回コールドで退けた。 
 
 迎えた決勝戦は、今春の地方大会決勝で4対3で勝利した滋賀学園が相手。今回も1点を争う熱戦となり、初回に1点を先制されるも2回裏に7番・塚脇柊太(3年)のタイムリーで同点、そして6回裏に1番・清谷大輔(3年)、3番・中村駿介(2年)のタイムリーなどで一挙5点を奪うも、直後に4点を返される展開となった。それでも選手たちは動じることなく、8回裏に主将・横田悟(3年)のスクイズが決勝点となって8対7の勝利。今夏も「近江ブルー」のユニフォームが甲子園を沸かせてくれそうだ。

12位:日大三(西東京)

2年連続19回目の夏甲子園出場

 今年3月に小倉全由監督が退任し、三木有造新監督の下で迎えた初めての夏、力強い戦いで群雄割拠の西東京を制してみせた。

 3回戦からの登場で、いきなり難敵・国士舘と対戦するも、16対2の5回コールド大勝発進を決める。続く4回戦では立川を10対0、5回戦では拓大一を7対4で下すと、準々決勝の駒大高戦は打線が佐々木純太郎(3年)のソロ本塁打以外は打ちあぐねる展開となったが、8回に同点に追い付いて延長タイブレークに持ち込み、苦しみながらも3対2のサヨナラ勝ち。エースの安田虎汰郎投手(3年)が延長10回を一人で投げ抜いた。

 そして準決勝で明大中野八王子を14対4の6回コールドで退けて迎えた決勝では、日大鶴ケ丘に3対1の勝利。打線が6番・針金侑良(3年)のソロ本塁打などで3点を奪うと、先発の安田が相手打線を5安打1失点に抑えた。

 2011年に夏2度目の甲子園制覇を果たした後、2018年夏もベスト4入りしたが、昨夏は1回戦敗退。新体制で帰ってきた今夏、伝統を継承しながらも“新生・三高”を印象付ける戦いを演じてくれるはずだ。

11位:浦和学院(埼玉)

2年ぶり15回目の夏甲子園出場

 盤石の戦いで埼玉の頂点に立った。2回戦で朝霞を10対0、3回戦で寄居城北を15対0、4回戦では本庄第一を8対1と3試合連続コールド勝ちの後、5回戦でも立教新座に10対2の大勝。エースの伊藤充輝(3年)が肩の不調を訴えるアクシデントがあったが、他の投手陣がカバーし、続く準々決勝では埼玉栄を相手に打線が11安打、投げては鈴木夕稀(3年)、渡辺聡之介(3年)が完封リレーを見せて7対0の完勝を収めた。

 さらに準決勝で川越東を9対0の7回コールドで退けた後、花咲徳栄とのライバル校対決となった決勝戦でも“強さ”は変わらず。打っては5番・三井雄心(2年)の3打席連続タイムリーなどで7点を奪うと、投手陣は4投手の継投で相手の攻撃を2点に抑え、7対2の快勝の形でゲームセットを迎えた。

 浦和学院は2013年春にセンバツ優勝を飾ったが、夏は初出場した1986年のベスト4が最高。就任2年目で初めて夏の甲子園出場を決めた森大監督の下、チーム一丸のスタイルでベスト4以上を目指す。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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