冬は運動不足に暴飲暴食が重なり、気づけば体重が急増―。しかし、この厄介な冬太りのサイクルを打破する方法が最新の研究でわかってきました。

今まで、海外の研究から報告されてきた"痩せ菌"の情報は、日本人には当てはまらないことが多いことがわかってきました。

そんな中、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所（NIBIOHN）の研究で、多くの日本人が持つ独自の"痩せ菌"の存在が明らかになりました。

海外では「アッカーマンシア菌」などが痩せ菌として知られていますが、実はこの菌を1％以上保有する日本人はわずか1割程度です。

そこでNIBIOHNの研究チームは、肥満でない、もしくは糖尿病でない日本人に多い菌として『ブラウティア ウェクセレラエ』（以下、ブラウティア菌）を発見し、肥満や２型糖尿病を改善する可能性のある有用菌であることが明らかになりました。

また、マウスを用いた実験では、高脂肪食と共にブラウティア菌を摂取させた場合、内臓脂肪の蓄積と体重の増加の両方が抑制されることが確認されています。

ブラウティア菌は、オルニチンやS-アデノシルメチオニンなど代謝を促進する効果がある物質をつくることがわかりました。また、腸内環境を整える短鎖脂肪酸もつくり出します。

これらが一緒になって働くことで、体重の増加や血糖値の上昇を抑えているものと考えられています。

ブラウティア菌がつくりだすアミノ酸代謝物や短鎖脂肪酸は、太りにくい体質づくりに有効であることが示されています。特に短鎖脂肪酸は、インスリンの分泌促進を行うことから、血糖値を一定に保つ働きがあります。

さらに最近の研究では、短鎖脂肪酸には免疫のバリア機能の強化、生活習慣病の予防や改善など、様々な健康効果があることが報告されています。

ブラウティア菌を育てるには、適切な「エサ」が必要です。食物繊維を含む食材を積極的に取り入れることが重要です。

これは、ブラウティア菌が食物繊維を発酵分解することで、体に有益な短鎖脂肪酸を産生するためです。

特に白米は、食物繊維が少ない"糖質の塊"であるため、もち麦などの食物繊維を意識的に加えることが効果的です。

取り入れ方の例
・白米1合（150g）に大麦（もち麦）を20g添加
・押麦やもち麦入りのごはんを日常的に摂取
・玄米や雑穀を積極的に取り入れる

食物繊維の摂取は、ブラウティア菌の増殖を促すだけでなく、腸内環境全体の改善にも繋がります。これにより、代謝が活性化され、肥満予防や血糖値の安定化といった効果が期待できます。