連載:大谷翔平が席巻するMLB後半戦の行方

打者・大谷翔平の衝撃、なにもかもが異次元 アーロン・ジャッジも注目する大記録更新

丹羽政善
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MLBを席巻し続ける大谷翔平の一挙一動から目が離せない 【写真:Getty Images】

バリー・ボンズを超えた衝撃の一発

 2002年10月20日(以下、すべて現地日付)、エンゼル・スタジアムで行われたワールドシリーズ第2戦。エンゼルスが八回に2点を勝ち越して迎えた九回、2死走者なしでバリー・ボンズ(ジャイアンツ)が、守護神のトロイ・パーシバルから右翼席上段へソロ本塁打を放った。
 
 その打球をダグアウトから見ていた主砲ティム・サーモンが、驚きながらなにかをつぶやく映像が残っている。
 現在、エンゼルスの試合を中継するバリー・スポーツの解説を務める本人に先週、「あのとき、なんと言ったのか?」と確認すると、ダグアウトのほぼ同じ場所から打球の着地地点を指さしながら、「『あそこまで飛んだ打球を見たのは、初めてだ』と言ったんだ」と明かした。
「マウンドには剛腕のパーシバル。2点差の九回。いろんな状況を考えたとき、あの一発は衝撃的だった」
 ちなみに記録をたどると、その飛距離は485フィート(147.8メートル)だった。

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 そんな古い話を最初に持ち出したのはグリフィン・キャニングである。6月30日の試合で大谷翔平が右翼席上段へ特大の本塁打を放つと、先発していたキャニングが、「ボンズのワールドシリーズでのホームランを思い出した」と口にしたのである。
 エンゼルスファンだった彼は当時、6歳。「生のはっきりした記憶はない」というものの、「何度もハイライトで見てきたから」。彼の脳裏に焼き付いて離れなかった。
 その大谷の一発の飛距離は493フィート。ボンズを上回り自己最長。今季の大リーグ、エンゼル・スタジアム史上、エンゼルスの選手としても最長と、記録尽くめとなった。

参考:
★ 大谷翔平、飛距離トップ3

(1) 493フィート=150.266メートル:23年6月30日、トミー・ヘンリー(ダイヤモンドバックス)@エンゼル・スタジアム
(2) 470フィート=143.3メートル:21年6月8日、クリス・ブビック(ロイヤルズ)@エンゼル・スタジアム
(3) 463フィート=141.1メートル:21 年7月9日、マルコ・ゴンザレス(マリナーズ)@Tモバイル・パーク

★ エンゼル・スタジアム 最長飛距離(2008年以降、490フィート以上)
(1) 大谷翔平(エンゼルス) 493フィート=150.266メートル:23年6月30日、トミー・ヘンリー(ダイヤモンドバックス)
(2) ジョーイ・ギャロ(レンジャーズ) 490フィート=149.4メートル:17年9月17日 ギャレット・リチャーズ(エンゼルス)

★ エンゼルスの選手 最長飛距離(2008年以降、490フィート以上)
(1) 大谷翔平 493フィート=150.266メートル:23年6月30日、トミー・ヘンリー(ダイヤモンドバックス)@エンゼル・スタジアム
(2) マイク・トラウト 490フィート=149.4メートル: 22年10月5日 ノルへ・ルイーズ(アスレチックス)@オークランド・コロシアム

★ 今季最長飛距離(480フィート以上)
(1) 大谷翔平(エンゼルス) 493フィート=150.266メートル:6月30日、トミー・ヘンリー(ダイヤモンドバックス)@エンゼル・スタジアム
(2) ジャンカルロ・スタントン(ヤンキース) 485フィート=147.8メートル:4月2日、ロス・ストリプリング(ジャイアンツ)@ヤンキー・スタジアム
(3) ノーラン・ジョーンズ(ロッキーズ) 483フィート=147.2メートル:6月7日、ローガン・ウェッブ(ジャイアンツ)@クアーズ・フィールド
(4) ジャレッド・ケレニック(マリナーズ) 482フィート=146.9メートル:4月12日、ジュリアン・メリーウェザー(カブス)@リグレー・フィールド

 サーモンは、かつて同球場で見たというボー・ジャクソン(ロイヤルズなど)の打撃練習も振り返りながら、続ける。
「自分がドラフトされた年(1989年)にここでオールスターゲームが行われたんだけど、ジャクソンが凄まじい打球を打っていた。500フィートは飛んでいたと思う。でも、翔平がここに来てから、それを超えるような打球を打っていて、目を疑った。もっともそれらは打撃練習であり、実際の試合でボンズを超えるような打球を見ることはないと思っていた。そしたら翔平が超えていった。ここでやっていたからこそ、あの凄さがわかる」
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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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