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花巻東の大砲・佐々木麟太郎のブレない思考 「岩手から日本一」を胸に高校最後の夏へ

佐々木亨
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とてつもない飛距離を生む長打力こそが、佐々木麟太郎の最大の魅力。高校通算130本超えの本塁打数を誇るスラッガーは、この夏も間違いなく注目の的だ 【写真は共同】

 恵まれた体躯を生かした規格外のパワーで、1年時から注目を浴び続けてきた花巻東の大砲・佐々木麟太郎。積み上げた本塁打は、歴代最多とされる通算130本超えだ。しかし、初めて甲子園の土を踏んだ2年春のセンバツは無安打に終わり、その後は故障も重なってベストパフォーマンスを発揮できない時期もあった。それでも、世代屈指のスラッガーはブレない。「岩手から日本一」という言葉を心に刻み、高校最後の夏にすべてを懸ける。

手術で1年時に冬場のトレーニングを積めず

 限界の幅が広がり、肉体や技術、あるいは経験に自信を持つことを『成長』と言うならば、そのスピードの度合いが「少し遅れたかもしれない」と、佐々木麟太郎は自身の歩みを分析したことがある。

 2021年、花巻東は秋の東北大会を初めて制して明治神宮大会に乗り込んだ。麟太郎1年秋のことである。国学院久我山(東京)との初戦では、1回裏の第1打席でライトスタンドへ豪快なアーチをかけるなど、華々しい“全国デビュー”を果たしてチームの4強進出に貢献した。

 さらなる成長と未来を見つめ、胸郭出口症候群の手術をしたのは、その年の12月だ。手術をしたこと自体は後悔していない。むしろ、これから広がる将来を考えれば「良かった」と思っている。ただ、多くの選手が右肩上がりの成長曲線を描くオフシーズン、麟太郎は本格的な冬場のトレーニングを積むことができなかった。
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著者プロフィール

1974年岩手県生まれ。スポーツライター。雑誌編集者を経て独立。著書に『あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる』(ベースボール・マガジン社)、共著に『横浜vs.PL学園 松坂大輔と戦った男たちは今』(朝日文庫)、『甲子園 歴史を変えた9試合』(小学館)、『甲子園 激闘の記憶』(ベースボール・マガジン社)、『王者の魂』(日刊スポーツ出版社)などがある。主に野球をフィールドに活動するなかで、大谷翔平選手の取材を花巻東高校時代の15歳から続ける。

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