J1月間MVP 神戸・大迫勇也の視線の先にあるもの「日本代表への想いは僕の中に変わらずある」
僕はまだ満男さんのようにはなれていない
鹿島時代のチームメイトだった小笠原(右から2人目)の強烈なリーダーシップは、若い頃の大迫(左)に衝撃を与えた 【Photo by Hiroki Watanabe/Getty Images】
チームとしてやろうとしていることが、僕にもうまくハマっていると感じています。まずはチームが最も大事なので、勝つために全力でプレーしていますし、キャンプからそういう意識を高めてシーズンに入れました。
FWにクロスが届く回数も昨年より確実に多くなっているのも大きいと思います。武藤(嘉紀)や汰木(康也)がサイドで強烈な個性を出して、相手の脅威になってくれているからこそ真ん中が空くので、本当に助かっています。他にもベンチにジェアン(・パトリッキ)をはじめ素晴らしい選手がたくさんいるので、みんなで切磋琢磨しながら戦っていきたいと思っています。
――神戸の選手たちはハードワークを惜しまず、シンプルにゴールへ向かっていく形がしっかりと共有されているように感じます。そのうえヨーロッパや日本代表での経験が豊富な選手も多く、お互いに要求しあうプレーの基準や質が高まっているのではないでしょうか。
今の神戸では全員がやるべきことをしっかりやるという意識が共有されています。そのうえで自分が感じたことは周りに伝えるようにしていますし、そういうことができる選手が3人、4人、5人とたくさんチーム内にいると思います。それに若い選手たちもしっかり付いてきてくれるので、僕たちも助かっています。
――先日、神戸の公式YouTubeにて公開された動画で「Jリーグ歴代ベストイレブン」を選んでいましたが、そこでアンドレス・イニエスタ選手の次に小笠原満男さんの名前を挙げて「チームを勝たせられる選手だなと感じた」とおっしゃっていました。大迫選手は今シーズンの神戸でまさにそうなっていると思いますが、「チームを勝たせられる選手」を噛み砕くと、どんな要素が重要だと考えますか?
言葉にするのは難しいですけど、試合中にひとつのプレーで流れを変えられるというか、他の選手も『やってやろう』という気持ちになるというか……何なんでしょう……満男さんにはそういう力がありました。もちろん、自分が感じたことがあれば試合中でも周りに伝えるようにしていますけど、僕はまだ満男さんのように「チームを勝たせられる選手」にはなれていないと思います。
なので、FWとしてゴールに絡むことと、時間帯に応じてそのときに必要なプレーをしっかりやることを心がけています。とにかく必死にプレーして、必死にもがいて、引退した後に自分が何を残せたのか、どんな選手だったのかというのを感じられればいいのかなと思っています。
また日本代表に選ばれるために……
コンディション不良もあり、残念ながらカタールW杯のメンバーから落選したが、大迫(右)は「今も日本代表への想いはある」ときっぱり 【Photo by Francois Nel/Getty Images】
もちろん、日本代表への想いは僕の中に変わらずあります。ただ、招集メンバーは森保(一)監督が決めることで、それをリスペクトしています。また日本代表に選ばれるために、僕は神戸で頑張って結果を残し続ける、いいコンディションであり続けることだけを考えてやるしかないと思っています。
――シーズンもちょうど折り返しに差し掛かりました。最後に、後半戦に向けての意気込みと今シーズン成し遂げたい目標について聞かせてください。
昨年は本当に自分の身体ではないような感覚でプレーしていました。でも、昨年と比べるような意識はなく、今年は今年でしっかりと成長していこうとしか考えていないです。1節目より最後の34節目のほうがいい状態でいられることが一番なので、1試合ずつ成長していければと思っています。
チームとしてもタイトルを狙える位置にいますけど、最終的にタイトルを獲得するには目の前の試合で僕たちが何をできるかが最も重要です。毎試合に全力を尽くして、そこで何を感じ、何を次につなげられるか。若い選手もたくさんいるなかで、経験のある僕たちが先頭に立ってそういう姿勢を示していくことが重要だと思います。そして、チームのためにゴールを決めたい。毎試合チームが勝てるように、僕は全力でゴールを決めにいきます。