2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ向けてのレースが本格化 23/24カーリングシーズン展望

竹田聡一郎

ミックスダブルス戦線に変化が起きる可能性も

昨季の北海道選手権でファイナルに進出した北海道銀行、ロコ・ステラ、KiT CURLING CLUB、コンサドーレ。今季はさらなる激戦が予想される 【(C)北海道カーリング協会】

 日本選手権が2月4日に終わると、3週間後にはミックスダブルス(以下MD)の日本選手権が軽井沢で行われる。

 今年の日本選手権(2月稚内)で優勝し、世界選手権(4月韓国・江陵)で準優勝に輝いた松村千秋(中部電力)と谷田康真(北海道クボタ)のペア、日本選手権準優勝の小穴桃里と青木豪(札幌国際大学)のペアは既に出場権があるため、今季はスケジュールに余裕を持たせて強化に充てられる。松村と谷田は9月と12月に2度、小穴と青木は10月と年末年始にやはり2度、それぞれ海外遠征を敢行する予定だ。

 他に日本選手権本戦から出場できる、JCAの強化委員会が推薦する強化指定ペアはまだ発表されていない。同委員会はホームページ上で「選考合宿の実施」を明記しているが、非公開での試合形式の開催になりそうだ。シーズンイン前、あるいはシーズン序盤に行われることが予想されるが、こちらも選考結果などの発表を待ちたい。

 興味深いのは藤澤五月、吉田知那美、吉田夕梨花らのロコ・ソラーレ勢の今季のMDに対する判断だ。昨季は2月5日に4人制の日本選手権(常呂)を終えて、中2週間でMDの日本選手権(稚内)に上記3選手は出場。そこからまた中2週間で世界選手権が開催されたスウェーデン・サンドビーケンにたつというスケジュールを強行した。覚悟の上で組んだ連戦だったこともあり、選手は過密日程を一切、言い訳にはしていないが、疲労の蓄積は世界選手権で目指した順位に届かなかった一因であることは明らかだ。4人制とMDの両にらみを継続するのか、あるいは今季は4人制に集中して臨むのか。正解のない難しい決断になってくるが、近くチームやJCAから併せてリリースがあるかもしれない。

ミラノコルティナ五輪出場枠に関わる3つの世界選手権

世界選手権で史上最高位となる銀メダルを獲得した谷田と松村。右は小笠原歩コーチ 【(C)STEPHEN FISHER / WCF】

 日本選手権が終わるとそれぞれの優勝チームが日本代表として世界選手権に挑む。

 まずは3月中旬にカナダ・ノバスコシア州シドニーで女子、続いて3月末にスイス・シャフハウゼンで男子、場所はまだ発表されていないが4月にはMD、それぞれ世界選手権が行われ、そこでの結果が日本としての26年五輪枠獲得に反映されてゆく。非常に重要な3大会だ。特に北京五輪に出場できなかった男子、いまだ五輪出場のないMDで結果を残し、男女MDの3チームがそろってイタリアに向かいたい。

 今年の8月から来季4月までの主要大会を足早にさらっていったが、他にも16年ぶりのパラリンピック出場を目指す車いすカーリング、ミックス4と呼ばれる男女の4選手で行われるミックスカーリング、小学生カーリング選手権(チビリンピック)、中学生カーリング選手権、高校選手権、大学選手権、ジュニア選手権、シニア選手権などの国内大会や、それに続く世界大会など、カーリングの大会はこの数年で激増した。カテゴリーごとに棲み分けた強化も進み、縦横の情報交換も活発になり、いい循環が生まれつつある。

 だからこそ、トップ選手が世界で結果を残すことが何よりのけん引力になる。まずは北海道ツアーで、大切な今季に向けて多くのチームが勢いを得るような好ゲームを披露してほしい。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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