熱戦開幕! プロ野球2023

西武・辻発彦前監督が復活に期待するパの選手9選+α ラオウ杉本、キャリアハイの打撃を取り戻すか?

前田恵
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杉本裕太郎(左)は2021年に打率.301、32本塁打をマークし、才能を一気に開花させるも、昨季は打率.235、15本塁打と大きく下回った。輝きを取り戻すことができるか。 【写真は共同】

 いよいよパ・リーグが開幕する。近年、成績が低迷し、かつての輝きが失われた選手、選手生命を左右しかねない大きな故障を経て、再起にかける選手など、並々ならぬ思いを抱いてこの日を迎える選手がいる。昨季で西武監督を勇退した辻発彦氏が、今季の復活に期待がかかるパ・リーグの選手を紹介する。

栗原陵矢はけがの恐怖を克服できるか

――まずは昨季、26年ぶりの日本一に輝いたオリックスから。主砲・吉田正尚選手(レッドソックス)が抜けた打線が気になります。そのなかで、辻さんが復活に期待する選手は誰ですか。

 杉本(裕太郎)選手です。彼のように豪快にバットを振ってくる選手は、対戦していて非常に怖いんですが、昨季は彼が苦手なインコースを克服しようとする意識が強くなりすぎて、結果、自分のバッティングを崩してしまったように感じます。

――インコースの速球に弱いことが明らかになって、対戦相手がそこを攻めてくるようになりました。

 苦手なコースを無理に克服しようとすると、これまで打つことができていたコースまで打てなくなるというリスクが、バッティングにはあります。杉本選手は元々、強引に引っ張るタイプではなく、逆方向への流し打ちが上手なバッターです。苦手なインコースをホームランにしようなんて思わず、そこはファウルにして、これまでのように得意なコースを狙っていけばよかったと思います。

 僕も現役時代はどちらかといえば逆方向に打つタイプで、よくインコースを攻められました。その度に身体が内側に引いてしまい、自分が判断するストライクゾーンまで内側に寄ってしまいました。当然、本来の(ストライクゾーンの)アウトコースは遠くなるので、バットの出が悪くなったり、身体の開きが速くなるなど、バッティングが狂ってしまうんです。調子が悪いときはこういうもので、昨季の日本シリーズでの杉本選手はバットが自然に出ていて、力みを感じませんでした。

――西武からオリックスにFA移籍した辻さんの教え子・森友哉選手も、本来の打撃を取り戻してほしいですね。

 森友哉は本来、真っすぐを待ちながら変化球にも本能的に対応できる、天才型のバッターです。ただ、あれだけ足を上げて豪快なフルスイングをすると、どんな選手でも下半身に負担がかかります。さらに、僕が西武の監督を務めていた2017年から22年までの6年間、彼はほとんどレギュラーでキャッチャーマスクを被り続けていたので、捕手という負担の大きなポジション柄、心身の疲労の積み重ねが年齢とともにどうしても増してきます。今の自分の身体の状態を十分に把握した上で、もう少し負担を減らすよう工夫していかないと、心と身体の動きが徐々に乖離してくると思います。
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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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