鳥谷敬が2023年のセ・リーグを順位予想 勝負師・岡田監督再登板の阪神が一歩リード?
巨人は若い選手の台頭がなければ厳しい戦いに
巨人は昨季ブレイクした大勢までどう継投するかが上位進出へのカギと鳥谷氏は見る 【写真は共同】
チームのバランスとしてベテラン頼みになっているのが気になります。12球団で見ても、レギュラーの野手陣の年齢層はかなり高い。彼らが活躍できるかどうかがすべて。年間通して考えたときに、イキのいい若手がチームに勢いをもたらすような活躍を見せなければ、どこかで苦しい戦いになると予想しています。
――若い野手がなかなか出づらい状況にもあるのでしょうか。
チーム構成として、完全にそうなっています。ファームでどれだけ活躍したとしても、一軍の空きが少ない。レギュラーが決まっていることは決して悪いことではないですが、若手の突き上げがなければ、チームは強くなっていきません。
――投手陣は、大勢投手が不動のクローザーとして大きな成長を遂げました。
大勢投手につなぐまでのリリーフ陣に課題が見えます。誰がどこを任されるのか不透明で、試合展開によってはイニングまたぎの可能性もある。先発の枚数も決して揃っているわけではないので、リリーフ陣が前倒しで起用される機会も増えていくはず。そうなると、長いシーズンを考えたときにスタミナ面を含めて、どうしても不安が残ります。
――2016年からの3連覇以降、4年連続でBクラスと苦しむ広島ですが、鳥谷さんの予想は5位。
上位3チームに比べると、戦力的に劣るのは否めません。野手は坂倉将吾選手、秋山翔吾選手、菊池涼介選手ら、若手とベテランのバランスが比較的取れていますが、投手陣の層に不安があります。先発は森下暢仁投手、大瀬良大地投手、床田寛樹投手ら、名前が挙がりますが、1年間戦うことを考えるとやりくりが厳しくなるのではないでしょうか。リリーフ陣も、栗林良吏投手につなぐまでの構想がまだ見えていないところがあります。
――さきほどの巨人と似ているところがありますね。
そうなります。上位3チームと比べると、どうしても投手の枚数が足りない。短期で見ればやりくりはできますが、143試合を考えなければなりません。先発が早く崩れれば、中継ぎの登板が増え、疲労が溜まる。悪循環に陥ってしまいます。
――立浪和義監督就任2年目、巻き返しを期す中日ですが、鳥谷さんの予想は6位。
正直、昨年に比べてプラスの要素が少なく、苦しい戦いが予想されます。特に、阿部寿樹選手、京田陽太選手が抜けた二遊間が不安です。土田龍空選手や、新人の村松開人選手、田中幹也選手ら期待の若手はいますが、実績がない分、未知数。立浪監督がどこまで我慢して起用できるか。見方を変えれば、阿部選手、京田選手が抜けたため、若手に切り替えて、腹をくくった采配ができる利点もあると思います。
――高卒3年目でリーグ最多安打を記録した岡林勇希選手、侍ジャパンに選出された高橋宏斗投手ら、楽しみな若手も出てきています。
石川昂弥選手も非凡な打撃センスを持っています。そう考えると、投手も野手もこれから伸びていく選手が多い。勝ち負けが大事なのは当然ですが、将来を見据えて、経験を積ませるシーズンになるのではないでしょうか。
(企画構成:株式会社スリーライト)