連載:WBCプール展望&ライバル国分析

【WBC注目野手12選】球界のサラブレッドや現役最高の捕手 MLBのスーパースターが代表に集結

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 スーパースターの競演は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が持つ醍醐味だ。ダルビッシュ有や大谷翔平と同等か、実績的にそれ以上の選手が各国代表には当たり前にいるのだから、そのレベルは推して知るべし――。今回のコラムはWBC出場を予定しているメジャーリーガーから、まず注目野手を紹介する。

J.T.リアルミュート(アメリカ)

類まれな強肩と優れたキャッチング技術を持つJ.T.リアルミュート。アメリカ代表の司令塔として世界一へ導く 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

ポジション:捕手

 現役最高のキャッチャーとして名高いJ.T.リアルミュート。MLBでは安定して打率.270、20本塁打前後の成績を残しつつ、捕手としては珍しく次の塁を積極的に狙ってくる“走り屋”でもある。31歳で迎えた22年シーズンは自己ベストの21盗塁と、その俊足に衰えは見られない。守備面では22年に盗塁阻止率.441を記録するなど強肩を披露。際どいコースの投球を審判にストライクコールさせる捕球技術を指す“フレーミング”もMLB平均より高い数値をマークしている。走攻守とも一流の彼が下位打線の起用を予想されているのだから、アメリカ代表の選手層は驚異的だ。

ポール・ゴールドシュミット(アメリカ)

強打を誇るポール・ゴールドシュミット。ナ・リーグMVPの看板を背負ってWBCに臨む 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

ポジション:一塁手

 22年のナショナル・リーグMVPであるポール・ゴールドシュミット。短縮シーズンの20年を除き、17年から22年まで5シーズン連続で30本塁打を記録している大砲で、通算打率.295、同出塁率.391と出塁による貢献度も高い。ノーステップに近い打撃フォームで、スピードボールへの反応や内角のさばきに定評がある。走れる一塁手として鳴らした20代の頃ほどではないものの、過去3シーズンで20回の盗塁企図すべてを成功させるなど、バッテリーの隙を見逃さない判断力も健在だ。一塁手としての守備力も高く、35歳となった今もなおMLB屈指の存在であり、スター揃いのアメリカ代表でも当然打線の中核を任されるだろう。

フレディ・フリーマン(カナダ)

カナダ打線の中核に座るフレディ・フリーマンは、抑えるのが困難な高い完成度を誇る打者だ 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

ポジション:一塁手

 確実性のある打撃、長打力、選球眼の良さ、巧みな守備。これらをすべて備えたフレディ・フリーマンは現役の一塁手としてポール・ゴールドシュミットと双璧だ。22年はリーグ2位の打率.325、本塁打こそ21本にとどまったもののリーグトップの47二塁打を記録した。打球を広角に飛ばす傾向が強く、その影響もあるのか、特に左打者の引っ張りに有効な守備シフトの割合が対左打者のMLB平均を下回っていた。また20年以降は元来悪くなかった三振率や空振り率がさらに良化するなど、30歳を過ぎてもなお進化を見せている。カナダ代表と対戦する各国は、MLBで最も完成された打者の一人であるフリーマンの対策に相当な時間を費やすことになるはずだ。

ウラジーミル・ゲレロJr.(ドミニカ共和国)

大会中に24歳となるウラジーミル・ゲレロJr.は、2021年に打率.311、48本塁打、111打点をマークした強打者だ 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

ポジション:一塁手

 ウラジーミル・ゲレロJr.はアメリカ野球殿堂入りを果たした父を持つ球界のサラブレッドで、日本では21年に大谷翔平とMVP争いをしたことでも知られている。22年は32本塁打、97打点をマーク。前年の猛打と比較すると成績はやや下降したものの、主軸として及第点の働きを見せた。特徴である豪快なスイングとは裏腹にコンタクト技術にも長けていて、ボール球に手を出しても簡単には空振りしない“しぶとさ”も備えている。一方でスラッガーとしては長打になりづらいゴロの打球が多く、球界随一といってもいい打球の速さを生かしきれてはいない。大会期間中に24歳の誕生日を迎えることからもわかるように、年齢的にはまだ若手のゲレロJr.。21年のような爆発を見せるきっかけを、大会中につかめるかどうか注目だ。

ホセ・アルテューベ(ベネズエラ)

言わずと知れたホセ・アルテューベ。自らの技術と経験をベネズエラ代表チームに還元する 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

ポジション:二塁手

 身長168cmとMLBで最も小柄な選手の一人であるホセ・アルテューベだが、打撃技術は折り紙付きだ。アメリカン・リーグの首位打者を3度獲得し、プレーした12年間の通算打率は.307を誇る。近年は打率が低下気味なものも、30本塁打前後を記録するなど長打力が増している。一貫して変わらないのがバットコントロールの巧みさで、特に22年のボールゾーンコンタクト率は72.6%とMLB平均の58.3%を大きく上回っていた。相手投手にとって最も三振に打ち取りづらい打者といえるだろう。アストロズの主力として、昨季を含めて2度のワールドシリーズ制覇を経験しているアルテューベ。激戦が予想されるプールDにおいてベネズエラ代表でもリーダーシップを期待される。

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著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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