ファン&解説者が予想!ど~なる? 2023年のプロ野球

鳥谷敬が2023年のパ・リーグを○×予想 日ハム・清宮の30本超えの可能性はアウトの内容に注目

大利実

昨季はキャリアハイの18本塁打を放った清宮幸太郎。新球場で今季は一気に30本超えなるか。鳥谷敬の予想は? 【写真は共同】

 プロ野球キャンプ・インから1週間ほど経った2月初旬、昨年から野球解説者として活躍し、積極的にキャンプ取材を行う鳥谷敬氏に今年もスポーツナビが直球質問をぶつけた。球団ごとに用意したファンもどちらかで迷うトピックに、△なしの○か×で答えなければならない。果たして、鳥谷氏のアンサーは? パ・リーグの見どころをズバリ予想してもらった。

オリックス:山本由伸が3年連続で投手4冠を獲得する

鳥谷氏の予想「〇」

――2年連続四冠(最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振)を獲得した山本投手。3年連続での偉業達成はありますか?

 十分にあり得ます。球威、球質、球種の豊富さ、制球力と、投手として必要な能力を兼ね備えています。MLBに挑戦するまでは、タイトルを独占しても不思議ではありません。

――WBCの影響はどの程度あるでしょうか。

 投げ方を見ていると、ボールやマウンドに左右されることはそこまでないと感じます。足を大きくゆっくり上げて、マウンドの傾斜を利用するような投げ方ではなく、コンパクトにまとめて投げている。フィールディングのうまさを見ても、さまざまな状況や環境への対応力の高さを感じます。

――もっとも難易度が高いタイトルは何になりますか?

 最多勝です。どれだけ抑えても、0対0では勝ち星は付きません。そう考えたときに、吉田正尚選手が抜けた穴はかなり大きいと見ています。吉田選手のソロホームラン一発でも勝てるのが、山本投手のすごさでした。

――森友哉捕手と組む機会も増えると思いますが、そのあたりの影響はどうでしょうか?

 ひとつひとつの球質が秀でているので、配球による影響はほとんどないと思います。

ソフトバンク:近藤健介が移籍初年で首位打者を獲得する

鳥谷氏の予想「○」

――移籍1年目となる近藤健介選手。いきなりの首位打者獲得の可能性はありますか?

 悩むところですが、「〇」です。柳田悠岐選手、栗原陵矢選手ら、近藤選手の前後に好打者が入る可能性が高い。バッテリーのマークが分散するとともに、「自分が決めなきゃいけない」ではなく、「後ろにつなげば何とかしてくれる」という心理で臨むことができます。調子が悪いときには、フォアボール狙いで打席に入ることができる。そして、狙ってフォアボールを取れるのが近藤選手のすごさでもあります。

――2019年、2020年には最高出塁率を獲得しています。どんな技術が、フォアボールの多さにつながっているのでしょうか?

 手元までボールを引き付けて、狙ってファウルを打てます。たいていの選手は、ストレートに振り遅れると体であおるように振ってしまうのですが、近藤選手はバットだけ出して、ファウルで逃げられる。調子が良いときはポイントを前にしてヒットを狙い、悪いときはポイントを下げてファウルで粘る。これができれば、打率がガクンと下がることはありません。

西武:源田壮亮がシーズン失策ゼロを達成する

源田壮亮のシーズン無失策の可能性はあり得るのか。同じ遊撃手としての鳥谷氏の見解は? 【写真は共同】

鳥谷氏の予想「×」

――2018年から5年連続でゴールデングラム賞を受賞している源田壮亮選手は、「失策ゼロ」を達成できますか?

 源田選手の特徴は、捕る・投げるの動きがスムーズで安定していることですが、ショートで失策ゼロはさすがに難しい。ただし、143試合すべて西武ドーム(ベルーナドーム)でプレーできるのなら、可能性はあるかもしれません。非現実的なことですが。

――なるほど、球場が変わることでの難しさがあるわけですね。

 同じ人工芝でも、外の球場かドーム球場なのかでまったく違います。雨が降ったときの人工芝は打球がスリップして、捕りにくい。ボールに水が含まれるため、投げるときの感覚も変わってきます。3連戦の中で同じ状況が一度もないこともあり得るわけです。

――タイガース時代の鳥谷さんは、土の甲子園球場がメインでした。土から人工芝にいくと、守りやすいものですか?

 守りやすいですね。仮に、人工芝のドーム球場で1年中できるのであれば、内野手全体の失策数はかなり減るはずです。私自身の目標は、年間10個以内の失策。クリアできたときは、「守備で貢献できた」と思えるシーズンでした(最少失策数は2013年の4個)。

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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