12球団の“熱烈”識者が語る!昨シーズンと新シーズン

阪神識者が熱望する生え抜き選手の30発 投手陣では「持っているものがすごい」と評する若手左腕に期待

Timely!編集部

18年ぶりのリーグ優勝へ、岡田彰布新監督の手腕に注目が集まる 【写真:共同通信社】

 既に始まっている、新シーズンに向けての戦い。監督の交代、ドラフト会議、トレード、新助っ人獲得、現役ドラフトなどを経て、あなたの応援するチームはどのように変貌するのだろうか? そこで、12球団の"熱烈"な識者の皆さん12人とライター菊地高弘さんに、昨シーズンを振り返りつつ、新シーズンへの期待、展望などを対談形式で存分に語って頂きました。
 第3回目となる今回は阪神タイガース編。文春野球2022で阪神タイガースの監督も務めた編集者・ライターの花田雪さんとライター菊地高弘さんの対談をお届けします。

2022年シーズンの象徴だった開幕戦

青柳晃洋に代わって開幕投手を務め好投を見せた藤浪晋太郎 【写真:共同通信社】

菊地 2022年の阪神は不思議なシーズンのようにも見えたんですけども、花田さんの目から見ていかがでしたか?

花田 本当に不思議なシーズンで、なんか総括しにくいですよね。良かったのか悪かったのかと言われるとなかなか難しいですね。

菊地 そもそもキャンプの時点で矢野燿大監督が辞任を前提にスタートするということ自体がびっくりというか、前代未聞のことだったのかなと思うんですけど。スタートダッシュも最悪な状態でしたけど、あの頃の地獄のような日々は、どうだったのでしょうか?

花田 僕は30年くらい阪神ファンなんです。いわゆる暗黒時代とよばれる時代から2003年、2005年の優勝、そこからの十何年の勝てそうで勝てない時期、そんな色んなタイガースを一人のファンとして見てきたんですけども、なんていうのか、贔屓チームを応援するモチベーションって、1番は優勝じゃないですか? 優勝できるのか、してくれるのか? そういう意味では4月の時点でそのモチベーションはゼロになりましたね。

菊地 しょうがないですよね。記録的な負け方でしたもんね。

花田 開幕9連敗でしたけど、その前の何連敗かの時点で「(過去に開幕から○連敗したチームで)リーグ優勝したチームはない」ってどこかに出ていて、「もう無理なのか!」って、30年間で味わったことのない絶望感というか。でも「まだいけるんじゃないか!?」みたいな気持ちもどこかにあったので、「でも優勝はもう無理だよな」「でもCSはまだ行けるのかな」「でもCS行ったところで、これで日本シリーズに出て喜べるのかなと」とか、そういう変なモヤモヤを抱えながら、やっぱり熱くなりきれなかったですね。

菊地 振り返ってみれば68勝71敗4分のリーグ3位。チーム打率の.243はリーグ5位だったんですけどもチーム防御率が2.67でリーグダントツのトップ。結果的に投手力で持ち直してきたかなという感じではあると思うんですけども、この不思議なシーズンを100点満点で採点すると何点くらいあげたいでしょうか?

花田 どうだろう......20点ですね。

菊地 だいぶ低いですね(笑)。

花田 さっきお話したように、優勝というところへのモチベーションがかなり早い段階でガクッと落ちてしまったので、4月、5月くらいの段階で「行けてもCS」という感じにはなってしまっていたので、ファンからすると1年間優勝を目指せなかった、最初の5、6試合までしか優勝を目指せなかったですからね。
一時期、順位をあげて貯金を作ったりしたことがあっても、なんか乗り切れなかったですよね。そういう意味でも、CSファイナルまで行けましたけど、高い点数はつけられないです。

菊地 一年間見てきた中で、分岐点となった試合や印象深い試合など、何か思い浮かぶ試合はありますか?

花田 何を1番思い出しますかと言われると、やっぱり開幕戦なんですよね。

菊地 (笑)。

花田 「あれで負けるんだ......」っていうね。開幕戦が全てを象徴していたというか、(2022年は)ピッチャーが抑えても打線が打てない、打線が点をとったらピッチャーが点をとられるという試合がすごく多かった印象があって、そんな歯車が噛み合わなかったシーズンの1番の象徴が開幕戦でしたね。だからどの試合を思い出すかと言ったら、やっぱり開幕戦の衝撃ですね。

菊地 5回終了時点で8−1でリードしていた試合が.....

花田 絶対勝ったと思いましたよ(笑)。

菊地 「今年は藤浪(晋太郎)いけるぞ!」みたいな雰囲気がありましたよね。

花田 本当そうです。期待しかなかったですよね。矢野監督が辞めるとなってそれがどっちに転ぶんだろうというなかで、コロナになった青柳(晃洋)に代わって投げることになった藤浪が去年の優勝チーム相手に好投。途中までは理想的な試合で「これはいけるぜ!」って試合を見ながら思っていましたからね。(その後の大逆転負けは)びっくりしましたね、だから(笑)。

菊地 岩崎優投手が打たれて、新守護神の予定だったケラー投手が崩れて、ここで戦い方がなんだか定まらなかったというか固まらなかったのが痛かったですよね。

花田 ケラーが誤算だったのはありましたけど、でも結果的にトータルで見たら日本野球にアジャストしましたし、ケラーは(2022年の外国籍選手のなかで)唯一の残留ですから、「開幕からのあれはなんだったのか?」という感じですけど、本当に歯車が噛み合わなかったですよね。
やることなすことが全て上手くいかない、開幕9連敗はまさにそんな感じでしたよね。シーズンを通して見たらどのチームも連敗するじゃないですか? それが開幕からいきなりきちゃった。その巡り合わせの悪さですよね。

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