黒田剛監督が選ぶ「青森山田ベストマッチ」

黒田剛監督が選ぶ「青森山田ベストマッチ②」【前編】 激闘となった初のプレミアリーグ勢同士の決勝

吉田太郎

初優勝した2016年度大会決勝の前橋育英戦に続き、黒田監督は再び日本一に輝いた18年度大会決勝の流経大柏戦もベストマッチに挙げた 【吉田太郎】

 J2・FC町田ゼルビアの監督就任が決まり、28年間率いた青森山田を今年度限りで去る黒田剛監督。すでに監督の座を退き、第101回全国高校サッカー選手権には総監督の立場で臨む。1995年に監督に就任し、同校を全国随一の強豪に成長させた名将は、過去に出場した26回の選手権で76試合の指揮を執った。その中から黒田監督本人に「ベストマッチ」と言える3試合を挙げていただいた。今回はその2試合目、2018年度大会決勝・流通経済大付属柏(千葉)戦の前編だ。

※リンク先は外部サイトの場合があります

追う展開になったのはすごく不本意だった

 黒田剛監督が2つめの試合として選んだのは、「すごい決勝でした。5万人以上入って」という2018年度大会の決勝だ。平成の選手権ラストゲーム。対戦相手は、前年度準優勝校の流経大柏だった。

 2011年の“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグ発足以降初めて、プレミアリーグ勢同士のファイナル。青森山田は札幌内定の10番・MF檀崎竜孔や福岡内定のDF三國ケネディエブス、チリ国籍のMFバスケス・バイロン、2年生MF武田英寿(翌年に浦和加入)、流経大柏も鹿島内定のDF関川郁万、10番をつけるFW熊澤和希ら注目選手を擁していた。

 成人の日が決勝となった2002年度大会以降では、最多記録(当時)となる54,194人の観衆が来場。名門校同士によるビッグマッチは、互いに攻守の切り替えが速く、球際の激しい攻防戦となった。

 サイドから仕掛け、コーナーキック、ロングスローの数を増やした流経大柏に対し、青森山田はFW佐々木銀士が最前線で健闘。1タッチパスの冴える武田やMF天笠泰輝を軸に、ボールを右のMFバスケス、左のMF檀崎へ展開する。そして、この両サイドハーフの突破力を活かしてシュートシーンを作り出した。

 だが前半32分、流経大柏が先制点を奪う。MF八木滉史の右コーナーキックからDFのマークを外した関川が豪快なヘッドを決めて1-0。青森山田は準決勝の尚志(福島)戦に続き、ビハインドを負う展開となった。

 黒田監督は、「ウチでは絶対に失点しないことがベースだったけれど、尚志戦もそうだし、流経戦も先制されたでしょう。追いかける展開になったのはすごく不本意なことでした」と振り返る。

必勝パターンで追いつき、両サイドハーフが躍動して逆転

40分の同点ゴールは、黒田監督がこの試合の殊勲者に挙げた天笠(右)を起点とした攻撃から生まれた 【AFLO】

 だが、青森山田は「あの時は天笠が殊勲賞。攻守にわたって天笠だった」(黒田監督)という天笠と澤田貴史のダブルボランチを中心に、セカンドボールの攻防で優位に立つ。天笠は卒業後に大学進学(2020年に群馬加入)。日本代表歴を持つDF西大伍(当時ヴィッセル神戸)が決勝後にTwitterで、「え、青森山田の天笠くん、どこも取らないの?」と絶賛して話題になったMFを起点とした攻撃から、青森山田は同点に追いついた。

 前半40分、右タッチライン際の天笠が反転して右オープンスペースへ絶妙な縦パス。オフサイドぎりぎりで抜け出した佐々木が独走する。最後はGKを引き付けて出したラストパスを檀崎が左足ダイレクトでゴールへ蹴り込み、同点に追いついた。サイド攻撃でクロスを上げ、逆サイドのサイドハーフが蓋をする形でゴール前へ詰めて得点を奪う。青森山田の必勝パターンが大一番で炸裂した。

 追いつかれた流経大柏は、後半開始から複数のポジションチェンジで巻き返しを図る。だが、ゲームを支配したのは青森山田のほうだった。

 フィジカル要素の部分をクローズアップされる青森山田だが、選手個々の技術レベルは非常に高い。そのパスワークはビルドアップを特長とするチーム以上とも言えるほどだ。

 青森山田は2011年の発足1年目からプレミアリーグに参戦。Jクラブユース、高体連のトップチームとのリーグ戦で勝ち続けるためには、どのようなスタイルにも対応できるチームでなければならない。プレミアリーグで継続して上位につけている青森山田は、そうして磨いてきた力をこの決勝でも発揮。正確なパスワークとセカンドボールの回収でリズムを掴み、流経大柏にプレッシャーをかけた。

 そして、後半18分、青森山田が勝ち越しに成功する。右サイドでボールを受けたバイロンが縦へボールを運ぶ。そして、切り返しから左足でクロスを上げると見せかけて、再び切り返し。DF2人を翻弄する形で突破したバイロンは、エンドライン際からマイナスのラストパスを入れる。これがDFをかすめてファーサイドへ。待ち構えていたのは、再び檀崎だった。1タッチでの右足シュートを逆サイドのゴールネットへ沈めて逆転。両サイドハーフが躍動し、ついにリードを奪った。

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント