黒田剛監督が選ぶ「青森山田ベストマッチ」

黒田剛監督が選ぶ「青森山田ベストマッチ②」【後編】 エースを中心に全員で勝ち取った栄冠

吉田太郎
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2018年度大会では流経大柏との決勝を逆転で制し、2年ぶり2度目の日本一に輝いた。黒田監督は何より安堵感を覚えた最初の優勝とは異なり、「本当の感動にたどり着けた」と振り返る 【AFLO】

 J2・FC町田ゼルビアの監督就任が決まり、28年間率いた青森山田を今年度限りで去る黒田剛監督。すでに監督の座を退き、第101回全国高校サッカー選手権には総監督の立場で臨む。1995年に監督に就任し、同校を全国随一の強豪に成長させた名将は、過去に出場した26回の選手権で76試合の指揮を執った。その中から黒田監督本人に「ベストマッチ」と言える3試合を挙げていただいた。今回はその2試合目、2018年度大会決勝・流通経済大付属柏(千葉)戦の後編だ。

背中を追い続けた名将たちと同じ快挙を実現

「あの時は、正直に安堵感というよりも本当の感動にたどり着けた優勝でしたね」

 黒田監督は初優勝の「安堵感」とは異なる感覚で、2度目の選手権制覇の瞬間を迎えていた。

「こういう日がまた来るのか、という不安はありましたよ。1回目優勝して、次の年は郷家(友太)の代で(小嶺忠敏監督率いる長崎総科大附に敗れて)3回戦敗退。1回はフロックでもあるでしょうって。でも、2回目は果たしてできるのか、と思って翌年は3回戦負けで、それでいて1年空けてまた優勝できたので、嬉しかったですね」

 1976年度の首都圏開催移行後、選手権で複数回優勝しているのは2018年当時、帝京(東京)、古河一(茨城)、清水市立商(静岡)、国見(長崎)、市立船橋(千葉)、東福岡(福岡)、鹿児島実(鹿児島)の7チームだけだった(その後、山梨学院も2度目の優勝)。2004年度に鹿児島実が2度目の優勝を飾ったが、野洲(滋賀)が初優勝した2005年度から6年連続で新王者が誕生するなど混戦の時代へ突入。国見が制した2003年度以降の15大会は全て異なる学校が優勝しており、複数回勝つことの難しさを黒田監督自身も分かっていた。

 それでも、青森山田は2018年度大会で2度目の選手権制覇。特に決勝では青森山田らしいサイド攻撃と堅守によって、強敵に逆転勝ちしての優勝だった。

 1995年の監督就任当時の部員数は18人。ボコボコの土のグラウンドで監督生活をスタートした黒田監督は、背中を追い続けた小嶺忠敏監督(国見)や松澤隆司監督(鹿児島実)、古沼貞雄監督(帝京)と同じく、選手権での複数回優勝(総監督としての優勝を含む)を実現した。
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