全国2冠狙う前橋育英、再び「キャプテン涼」で選手権優勝なるか

平野貴也

黄と黒のタイガーカラーのユニフォームで知られる前橋育英が全国2冠を狙う 【筆者撮影】

 上州の虎が、夏冬全国2冠を狙う。第101回全国高校サッカー選手権大会は、11月21日に組み合わせ抽選会が行われ、トーナメントの日程・会場が発表された。記念すべき100回目となった前回大会は、青森山田(青森)が圧倒的な強さを見せつけた。今年は都道府県大会で強豪校が多く敗れるなど全国的に大きな力量差はなく、混戦が予想されている。しかし、その中でも夏のインターハイ覇者・前橋育英(群馬)は、優勝候補の筆頭に挙げられる好チームだ。初挑戦のプレミアリーグEASTは中位に留まっているが、精度の高い組み立てで得点機会を創り出す力には定評がある。

攻撃力が武器、左DF山内のビルドアップは必見

 前橋育英は、基本的に精度の高いショートパスの連係で攻撃を組み立てる。特に、群馬県大会の決勝戦で2得点1アシストの活躍を見せた左DF山内恭輔(3年)のビルドアップは、一見の価値がある。「低い位置でもらって、オープンに持ってキックで(相手を)ひっくり返したり、それを切ってきたら中にドリブルしたり。駆け引きをして(相手の守備の思惑に)ハマらないサイドバックを目指している」と話す通り、自陣でも自信を持ってボールを持ち、相手のプレッシャーをかわして揺さぶるのが上手い。そこから中盤を経由して流れるような連係攻撃を仕掛けるのが、チームの基本線だ。

 サイドはプレミアリーグでチームの得点王となっているMF小池直矢(3年)が左、高速ドリブルが武器のMF大久保帆人(3年)が右の仕掛け役。大久保は、インターハイでは相手に警戒されて持ち味を出せない場面も多かったが「対策をされても特長を出せる選手にならないといけない。少し相手をずらす、細かいところをやらないと通用しないと言われて意識してやって来た」と突破役の矜持を示す。

夏からの上積みは、攻撃のバリエーション増

小池(9番)は、攻撃の核となる注目選手だ 【筆者撮影】

 夏から上積みされたのは、攻撃のバリエーションだ。県大会決勝戦では、身長158センチと小柄で機動力のあるFW高足善(3年)と、180センチとサイズがありポストプレーができるFW山本颯太(3年)のツートップが先発だったが、空中戦も強い小池がFWで起用されるパターンもある。小池は「左MFならボランチに関わってゲームを作る。FWならヘディングで競り勝ったり、前でボールを収めて起点になることを考えている。チームとしてもバリエーションが増えて、プレーの幅が広がっている部分は、育英の面白みの一つだと思う」と話す。

 山本と小池のダブルターゲットになれば、高足の機動力で引っかき回しながら組み立てる形とは別の攻撃が可能になる。主将を務めるMF徳永涼(3年)は「前で溜めを作る攻撃も織り交ぜることによって、どちらもできる良さは、夏から自分たちに加わったところ」とチームの上積みに自信を示していた。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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