「浅野がみんなからショーを盗んだ」 ドイツメディアは日本代表をどう報じたか

円賀貴子
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日本戦の翌朝、ベルリン中央駅の新聞売り場に並ぶドイツの有名紙。ドイツメディアは森保ジャパンの戦いぶりをどう報じたのか 【画像提供:円賀貴子】

 日本が劇的な逆転勝利を飾ったドイツ戦。この試合をドイツのメディアはどう報じたのだろうか。自国の代表チームの不甲斐なさを嘆く記事が大半だが、日本代表の戦いぶりを分析する記事や、ドイツのクラブでプレーする日本の選手を称える記事も散見される。現地在住の識者にまとめてもらった。

日本の選手の採点も高くない

ヨーロッパを代表する大衆紙『ビルト』の中面。日本の選手の採点は4人に高評価の「2」がついたものの、スタメン11人に限れば、権田と板倉を除いて全て「3」以下だ 【画像提供:円賀貴子】

 ドイツの新聞では最も感情的なことで知られる『ビルト』紙は、試合翌日の一面でハンジ・フリック監督が両手で顔を覆った写真の下に「Sch…-WM」と大きく綴った。「Sch…」というのは日本でいうところの放送禁止用語を略したもので、「WM」はワールドカップ(W杯)の意。つまり「クソW杯」という意味だ。

 さらに中面では「また災難のスタートか!」と見出しを立てて、ドイツ代表の守備の崩壊と熱意の足りなさを嘆き、採点欄では「フリックと5人の敗者に5点」(1が最高点、6が最低点)と手厳しい。しかし、だからといって日本代表を手放しで絶賛しているかというとそうでもなく、日本の選手の最高点は権田修一、板倉滉、浅野拓磨、堂安律につけられた「2」である。

『ビルト』の姉妹紙『B・Z・』の一面は、ドイツ代表が試合前の集合写真撮影時に見せた「言わざる」のカットが紙面上部に。その下に飲み屋で観戦するファンが頭を抱える写真を掲載し、そして「君たちはこう。私たちはこう」の文字。

 この「言わざる」のポーズは、言論の自由を脅かされたことに対する選手たちの抗議行動だ。ドイツ代表がFIFAの圧力に屈し、「One Love」と書かれた腕章をつけなかったことが国内で批判されており、選手たちにはかん口令が敷かれたのだ。「言わざる」の写真は他の多くの新聞でも使われていて、腕章をつけなかったことへの非難、またはそこまでいかなくとも歯痒さを示すものである。日本にはあまり伝わっていなかったかもしれないが、日本戦の前にはこの腕章問題が日本代表の分析記事などを押しやっていた印象さえあった。

『B・Z・』の別の記事の「ヘルプ、ハンジ! このスペイン人たちをどうやって止めるつもりだ?」というタイトルは、同じ日に7-0という大差でコスタリカを破り、ドイツが苦手意識を持つスペインとの次の試合に向けて、誰もが感じている不安を代弁している。
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