特集:Bリーグ2022-23月間MVP

シュート成功率100%でトリプルダブル… 島根のペリン・ビュフォードが今季最初の月間MVP受賞

大島和人

在籍3シーズン目を迎えた島根に愛着「とても心地良かった」

強豪チームとの対戦も「大大大好きなので、とても楽しみ」 【バスケットボールキング編集部】

――島根まで取材に行った知り合いから「ビュフォード選手は練習後いつも最後までコートにいる」と聞きました。個人練習は、どんなことにこだわってやっているんですか?

 Bリーグは毎週、対戦相手が変わります。それに対して自分は「相手が次の試合は自分にどう対応するのか、自分はどうプレーしなければいけないのか」について、コーチ陣と常にコミュニケーションを取っています。彼らは的確なアドバイスをくれます。毎週やるべきことは変わってくるので、同時に自分がやるべき仕事も変わってくる。コーチ陣のアドバイスをもとに、毎週取り組むべきことに取り組んでいるだけです。

――試合を想定して「今週はこういうプレーが増える」と逆算して、個人のメニューにも反映させているんですね?

 そのとおりです。個人練習だけでなく全体練習もそうですが、次戦のゲームプランを自分の中でしっかり立てて、練習でそれをこなすようにしています。自分のスキルをもっと磨くためにも、練習後にはコーチ陣やヨシ(田中良拓マネジャー)にも手伝ってもらって、その週の試合に合った個人技術を磨くことを心がけています。

――Bリーグは初年度から東地区優位が続いていますが、今シーズンの序盤戦は「西高東低」に変わっています。島根も再開後のB1では琉球ゴールデンキングス、名古屋ダイヤモンドドルフィンズのような西地区の強豪と対戦が組まれています。

 まずこれからこの地区のベストチームと言われる琉球、名古屋Dと対戦する日程が組まれていますけど、そういう強いチームと試合することは大大大好きなので、とても楽しみにしています。(※編注:「I love,love.love」と“愛”を強調していた)。リーグや地区の中でベストと言われるチームと戦うことによって、自分たちが本当に何者なのかを示す楽しみがあるからです。そういったチームとの対戦を、すごく楽しみにしています。あとBリーグのいいところは週末に2試合連続で同じ対戦相手とのカードがあるので、1試合目が良かったとしても2試合目でどう改善できるかが大事になるし、また1試合目に負けたとしても2試合目にどうはい上がれるかを、チームとしてしっかりと見せられることです。2試合連続で戦えるのも楽しみです。

――ビュフォード選手のキャリアを見るとシーズンのたびにチームも国も変わっていて、高校や大学も転校しています。島根は連続3シーズン目ですが、クラブを変えずに残ろうと決めた理由は何ですか?

 ヨーロッパにいた時は、常にレベルアップがしたくて、より高いレベルのチームへ頻繁に移っていました。レベルが高いチームはサラリーがいいですし、環境も整っている。自分はそうやってより良いプレーができていたと思っています。ヨーロッパでさらに環境の整ったチームへ行くこともできたんですけど、同時に結構ストレスフルな生活でした。コート上もそうだけど、オフコートでちょっとストレスのかかることが多くありました。日本に来たのはちょうどコロナの時期でしたが、その中でもチームがすごく温かくて、家族のように接してくれたんです。選手に限らず、スタッフやファンの方もすごい温かく迎え入れてくれました。家族のように扱ってくれたのが、とても心地良かったんですね。「ただ純粋にバスケットを楽しむことができた」のも大きな要因の一つです。チームメートは英語が話せようが話せまいが、しっかりコミュニケーション取ってくれています。お互いにリスペクトし合える関係性を作れているのが、このチームの心地よさにつながっています。そういうチームに「次のシーズンもいてくれ」と言われたら、「ノー」とは言えません。

――松江は島根の県庁所在地ですが、東京や大阪に比べると小さな、静かな町だと思います。生活環境はどうですか?

 小さい街に住むことについては、いいことも悪いこともありますね(笑)。まずいいこととしては、小さいがゆえにファンも含めて市民がとっても近くに感じられることです。先ほども言ったようにファミリー、ホームだなと思わせてくれる場面がたくさんあります。買い物をしに行っても、いろいろなファンの方が「写真を撮ろう」と言ってくれて、アットホームな気分になれます。確かに田舎ですし、オフに「何をしようか?」となる日もあるんですけど、今は娘と妻と愛犬がいるので、退屈はしません。広島や大阪もそんな遠くはないので、オフの日には家族でちょっと出かけることもできます。

――最後に島根のファンとBリーグのファンにメッセージをお願いします。

 まず島根ファンには、いつもたくさんの応援をいただいていることに、心から感謝しています。私は情熱的な選手ですし、ファンの皆さんからもらった情熱分だけを、その情熱をプレーで返すことができると思っています。これからもその情熱を、ぜひ引き続きチームに注いでください。日本のバスケットボールファンには、島根の試合を見る機会があったら、このクラブや私のファンなってくれるとすごくうれしいです。コート上ではチームのために全力を尽くすので、その姿を見ていただけるとうれしいです。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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