連載小説:I’m BLUE -蒼きクレド-

[連載小説]I’m BLUE -蒼きクレド- 第25話「碧と蒼をひとつに」

木崎伸也 協力:F
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舞台は2038年。11月開催のインド・ワールドカップに向けて、日本代表は監督と選手たちの間に溝が生じていた。
日本代表の最大の弱点とは何か?
新世代と旧世代が力を合わせ、衝突の中から真の「ジパングウェイ」を見いだす。
木崎伸也によるサッカー日本代表のフィクション小説。イラストは人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモが描き下ろし。
 玉城迅は最前列の席に着くと、室内を見渡さずにはいられなかった。
 日本サッカー連盟「未来フィールド」のカンファレンスルームに、現日本代表選手23人だけでなく、引退した上原丈一、松森虎、今関隆史ら代表OBたちが集結している。
 一宮光が冗談まじりに小声でつぶやいた。
「すげぇメンツ。いわばオールスターミーティングだ」
 今回、号令をかけたのは代表OBであり、現代表監督でもある秋山大だった。
「日本代表の過去と現在を線でつなぎ、日本代表の未来に向けて行動規範をつくろう」
 そう呼びかけたところ、OB約20人が合宿地の海浜幕張に駆けつけたのである。日本代表史上初めての試みだ。

【(C)ツジトモ】

 演台から向かって左半分にOBが座り、右半分に現代表選手が座っている。左半分の最前列は丈一、今関、虎、右半分の最前列は玉城、一宮、グーチャンという並びだ。
 出場停止処分中の加藤慈英と松森玲王も参加を許された。2人はまだわだかまりが解けていないのだろう。離れて座っている。

 秋山が演台につき、開幕を宣言した。
「これまで日本代表は、選手が入れ替わるたびに、キャプテンが入れ替わるたびに、チームのカルチャーがリセットされ、そのつどそれをつくり直してきました」
 選手たちはジャージだが、秋山はスーツを着ている。監督としてOBとして正装すべきと考えたのだろう。
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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。金子達仁のスポーツライター塾を経て、2002年夏にオランダへ移住。03年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材した。現在は東京都在住。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『革命前夜』(風間八宏監督との共著、カンゼン)、『直撃 本田圭佑』(文藝春秋)など。17年4月に日本と海外をつなぐ新メディア「REALQ」(www.real-q.net)をスタートさせた。18年5月、「木崎f伸也」名義でサッカーW杯小説『アイム・ブルー』を連載。

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