連載小説:I’m BLUE -蒼きクレド-

[連載小説]I’m BLUE -蒼きクレド- 第24話「日本代表最大の弱点」

木崎伸也 協力:F
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舞台は2038年。11月開催のインド・ワールドカップに向けて、日本代表は監督と選手たちの間に溝が生じていた。
日本代表の最大の弱点とは何か?
新世代と旧世代が力を合わせ、衝突の中から真の「ジパングウェイ」を見いだす。
木崎伸也によるサッカー日本代表のフィクション小説。イラストは人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモが描き下ろし。

【(C)ツジトモ】

 上原丈一と秋山大の間に割って入ると、松森虎はアームレスリングの台とへディスの台を指さした。
「決着はあれでつけないか?」
 力勝負とヘディング勝負ではまったく異なる。丈一が頭の中で勝算を計算していると、虎が前者を選んだ。
「腕相撲で決着をつけよう。俺がレフリーをつとめる」
 秋山がフフフと笑ってスツールに腰をかけた。
「相変わらず、虎さんは強引ですね。勘違いしないでください。決着をつけるも何も、僕はそもそも相手にしてないですから。ジョーさんが絡んできただけで」
 秋山はグラスを手に持ち、炭酸水を一口飲んだ。
 すると突然、虎が両拳を握り締め、「熱さが足りねー!」と叫び声をあげた。
「秋山、そういうところだよ。お前がリーダーになりきれないのは。冷静さだけじゃ人はついてこない。ここは逃げるところじゃない」
 秋山はネクタイを緩め、ジャケットを脱いだ。
「ずるい言い方しますね。いいでしょう。今日は虎さんにつき合いますよ。で、腕相撲すればいいんですか? さっさとやりましょう。明日練習があるんでね」
 店内の室温が急に上がる。
 虎も革ジャンを脱いだ。
「まあ、焦るな。せっかくマンチェスターから来たんだ。楽しませてくれ。ジョー、さっき『ピッチ外の戦術』がないと言ったな。どういう意味か説明してくれ」
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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。金子達仁のスポーツライター塾を経て、2002年夏にオランダへ移住。03年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材した。現在は東京都在住。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『革命前夜』(風間八宏監督との共著、カンゼン)、『直撃 本田圭佑』(文藝春秋)など。17年4月に日本と海外をつなぐ新メディア「REALQ」(www.real-q.net)をスタートさせた。18年5月、「木崎f伸也」名義でサッカーW杯小説『アイム・ブルー』を連載。

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