[連載小説]I’m BLUE -蒼きクレド- 第23話「元エースの監督批判」
日本代表の最大の弱点とは何か?
新世代と旧世代が力を合わせ、衝突の中から真の「ジパングウェイ」を見いだす。
木崎伸也によるサッカー日本代表のフィクション小説。イラストは人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモが描き下ろし。
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すでに渋谷・新宿・池袋・上野に支店があり、オーナーであるマルシオは現役の日本代表選手でありながら経営者としても成功を収めつつあった。
上原丈一は本店の前に立って看板を見上げると、2030年ワールドカップ(W杯)の記憶が蘇ってきた。
「この言葉を店名するとはマルシオらしいな」
マルシオ・タバタはサンパウロ出身の日系4世で、2030年W杯前に「オブリガードが足りない」と発言し、丈一が「感謝」の大切さに気づくきっかけをつくってくれた恩人だ。現在33歳。イングランドのバーミンゴムでプレーしながら、東京でスポーツバーを経営している。
階段で地下に降りると、マルシオが出迎えてくれた。
「ジョー、久しぶりネ。トゥード・ベン?」
「ムイント・ベィンだよ。まだ時差ボケが残ってるけどな。今日は急な連絡にもかかわらず、貸切にしてくれてありがとう。オブリガード」
丈一が2030年W杯のメンバーで同窓会をやろうと思いついたのは、この日の昼のことだ。一緒にいたグーチャンと手分けをして連絡をし、現日本代表監督の秋山大に許可をもらった。「ノンアルコール」が条件で、海浜幕張に宿泊中の現日本代表メンバー、そして秋山自身も参加する。
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