連載:ヤクルトが強くなったワケ

村上宗隆の影に隠れた“5ツール選手”の貢献度 「直球への強さ」がヤクルト打線を象徴する

小西亮(Full-Count)
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セイバーメトリクスの観点から、今季のヤクルト打線の破壊力をどのように分析できるのだろうか? 【写真は共同】

 ヤクルトが、セ・リーグ連覇に向けてラストスパートをかけている。2022年シーズンを開幕から振り返ると、5〜6月のセ・パ交流戦で全カードに勝ち越して4年ぶり2度目の優勝。7月2日には、史上最速でマジックナンバーを点灯させた。いったんマジックは消滅したものの、首位を明け渡すことなく、ペナントレースも残り1カ月足らず。再び逃げ切り態勢に入った。
 2020年まで2年連続で最下位だったチームが、突如変貌を遂げたのが昨季。不動の4番・村上宗隆内野手の存在はこの上なく大きいが、チーム全体の底上げが図られているのも間違いない。ツバメ軍団はなぜ強くなったのか、データで探る。まずは「攻撃編」。セイバーメトリクスの観点からプロ野球のデータを分析する「DELTA(デルタ)」のアナリスト・大南淳氏の協力を得て検証した。(数値は8月31日時点)

村上が「かなりの割合」も…成熟した打線

村上の存在がOPSの数字を引き上げているのは間違いないが… 【写真は共同】

 5月に首位に立ち、7月にかけて怒とうの14カード連続勝ち越し。そのまま独走するかと思われたが、夏場以降は苦しんだ。7月は7勝13敗と大きく負け越し。8月も前半に7連敗を喫するなど、2位・横浜DeNAに一時4ゲーム差にまで迫られた。

 ただ、昨季の王者はこのままズルズルといかない。8月26日から行われた横浜DeNAとの“天王山”3連戦(横浜)で3連勝。主役はやはり、村上だった。1戦目で史上最年少の通算150本塁打から2打席連発と躍動し、2戦目では今季48号を含む5安打の固め打ち。3戦目も勝ち越しの49号を放ち、勝負を決した。

 ヤクルトの躍進は、村上の打棒と切っても切り離せない。昨季は39本塁打を放ち、巨人・岡本和真内野手とともに本塁打王を獲得。4番として6年ぶりのリーグ優勝をけん引し、MVPに選ばれた。今季もチームへの貢献度は計り知れず、大南氏も「データ上でも、村上選手ひとりでチームのプラス指標のかなりの割合を占めているのは事実」と認める。その上で、若き主砲に引っ張られるようにして、打線全体としても成熟してきた側面もある。

 顕著な指標のひとつが、総合的な打撃能力を表す「OPS(On-base Plus Slugging percentage )」。出塁率と長打率を足した数値で、近年では日本のプロ野球でも認知されるようになってきた。「1」を超えれば超一流と言われ、個人ではもちろん村上が12球団トップの1.230を誇る(2位は埼玉西武・山川穂高の1.012)。

【データ提供:株式会社DELTA、図表作成:スリーライト】

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著者プロフィール

1984年、福岡県出身。法大卒業後、中日新聞・中日スポーツでは、主に中日ドラゴンズやアマチュア野球などを担当。その後、LINE NEWSで編集者を務め、独自記事も制作。現在はFull-Count編集部に所属。同メディアはMLBやNPBから侍ジャパン、アマ野球、少年野球、女子野球まで幅広く野球の魅力を伝える野球専門のニュース&コラムサイト

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