連載:ヤクルトが強くなったワケ

ヤクルト優勝の確率がグッと高まる条件 飯田哲也、真中満、全てのOBが期待する選手は…

長谷川晶一
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90年代にヤクルト黄金時代を築いた野村克也氏(左)。これから黄金期を築こうとする高津監督(右)は、「野村野球」をどのように受け継いでいるのか 【写真は共同】

 昨年、20年ぶりに日本一となった東京ヤクルトスワローズ。連覇を目指す今季は、圧倒的な強さで前半戦を折り返したものの、コロナ禍による選手の大量離脱以降、残り30試合を切った現在は一進一退の戦いが続いている。こうした現状をヤクルトOBたちはどのように見ているのか? そこで、「飯田哲也氏×真中満氏」緊急OB対談を企画。両氏による野手目線の議論は、気になる今後の行方、シーズン終盤のキーパーソンに話題が及んだ。いよいよ、これからペナントレース最終盤が訪れる。両OBはこれからの戦いをどのように見ているのか? 勝負を決するポイントはどこにあるのか?(取材日:8月25日)

「高津野球」と「野村野球」の類似点、相違点とは?

――お二人とも、高津臣吾監督とは現役時代からチームメイトとして一緒にプレーしています。それぞれが考える「監督・高津臣吾」の印象を教えてください。

飯田 現役時代は、バラエティー番組で明るく歌を歌ったりしていたけど、監督になって最初の年、2020年に最下位となったことで、よりシビアになったし、2年目の去年は我慢強く、自分の意志を貫こうという気持ちの強さを感じましたね。

真中 僕らOBのように、周りからいろいろな意見が飛び交うことがあっても、本人の考えはまったくブレない。そんな監督だと思いますね。たとえば、かたくなに「四番・村上」を代えようとしないし、投手起用に関しても「中継ぎには3連投はさせない」「今日はこのピッチャーは使わない」とか、自分の決めたことを絶対に変えない。ある意味では頑固な監督だと思います。

飯田 普段はとにかく明るくてみんなを楽しませるタイプなのに、試合になると全然違う。現役時代からそういう一面はあったけど、今も変わらないですね。

真中 現役時代の高津さんを知っている人からすれば、「監督・高津臣吾」は、マウンド上の高津さんの姿と重なりますね。現役時代の高津さんはマウンドではスイッチが入るけど、それ以外はオフにして、すごくメリハリがありました。今もそうなのかもしれないけど、監督となってからはスイッチが入っている時間が長くなったと思います。

――高津監督は常々、「野村克也監督を尊敬している」と話しています。飯田さんも、真中さんも野村監督の下でプレーをしていますが、采配やたたずまいなどに「野村野球」の影響は感じられますか?

飯田 基本的には「野村野球」だと思いますね。しっかりと送る場面では犠牲バントを選択したり、凡打でも何とかランナーを進めようとしたり、細かい点を徹底するところは「野村野球」じゃないですかね。

真中 僕としては、もちろん「野村野球」の影響もあるとは思うんですけど、逆に野村さんとの違いが印象的ですね。たとえば、攻撃に関しては野村監督よりも動きが多いというか、ヒットエンドラン、ランエンドヒット、もちろんスチールも含めて、野村さんよりもアクションが多い監督だと思います。逆に投手継投に関しては野村監督よりも我慢強いかな?

――たとえば、「真中監督」としては「ここは交代だ」という場面でも、高津監督はあえて動かない。そんな感じなんですか?

真中 そうですね。試合を見ていて、「あぁ、まだ変えないのか。まだ引っ張るのか?」と思うケースはありますね。一方で、試合終盤の早め早めの守備固め、僅差を逃げ切るというスタンスは野村監督らしい気がします。
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著者プロフィール

1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターに。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。著書に『いつも、気づけば神宮に東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)、『生と性が交錯する街 新宿二丁目』(角川新書)、『基本は、真っ直ぐ――石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)ほか多数。

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