連載:高校野球の盟主・大阪桐蔭の強さの秘密

前履正社・岡田龍生監督が語る大阪桐蔭「桐蔭が最も強いと感じたのは……」

沢井史
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履正社を全国レベルの強豪に成長させた岡田監督は、この春から母校の東洋大姫路へ。今回は、履正社の監督として大阪でしのぎを削ってきた大阪桐蔭について語ってくれた 【沢井史】

 全国屈指の激戦区・大阪で、毎年のように大阪桐蔭と甲子園の出場権を争ってきた履正社。昨年度まで同校の監督を35年間務めた岡田龍生氏は、大阪桐蔭の強さを誰よりも知っている人物だろう。今春からは大阪を離れ、母校である東洋大姫路で指導にあたっているが、履正社の監督として長きにわたり競い合ってきた好敵手について、様々な話をしてくれた。

19年に全国制覇を果たす前から“世代交代”を考えていた

 4月2日に母校の監督として初めてグラウンドに立ち、直後に行われた春季兵庫大会は準優勝。慌ただしく過ぎていった春先から、初夏となった今。夏への雰囲気が徐々に色濃くなるなか、チーム作りは少しずつ進んでいる。

「1年生が入ってきて、私の教えを今、落とし込んでいるところです。2、3年生はすでにこの1年、2年の上積みがあるので、いかに私の教えを浸透させられるか。まぁ、すんなりとはいかないですね」

 履正社で35年間かけて培ってきたノウハウを徐々に母校に染み込ませる。とはいえ、決して容易いことではない。打撃練習ひとつでもフリー打撃での時間の回し方を含めた練習時間の効率化など、さまざまな改革を1つずつこなしている。

 母校の東洋大姫路から監督の打診があったのは実は数年前だ。2019年に全国制覇を果たす前から交渉が続いていたのだが、世代交代を考えていた岡田龍生監督はじっくりと考えながら前向きに話を進め、交代のタイミングを見計らってきた。

「同じ人間がずっと監督を続けているのはどうかと思っていました。(教え子である)多田(晃)先生(現監督)は、最近は私よりずっと現場を見てくれていましたし、私の野球も熟知してくれている。だからいつ多田先生にバトンを渡してもいいと思っていました」

 新天地に来てからも履正社の試合はチェックをしているが、今春の履正社の戦いぶりについて岡田監督は“進化”を感じていた。

「僕がやってきたことをベースにして、多田先生がアレンジしているように思いました。その上で悩んでいることもあるようで、多田先生から連絡が来たら応えたりはしますよ。僕も悩むことはたくさんありましたし、何十年もやってきた僕も苦労しましたから“すぐに解決はしないよ”とは言うてます。投手交代なんて特にそうです。タイミングや流れなども含めて、こればかりは経験していかないと分からない。行き当たりばったりではなく、そこはきっちり積み重ねていかないといけない。その上で徐々に解決していけるものやと」

打者としては「やっぱり中田君がナンバーワン」

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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