J1月間MVP 鹿島・上田綺世のゴール哲学「得点の伏線は自分で張ることができる」

飯尾篤史

日本代表の次期エースとの呼び声高い上田綺世。鈴木優磨との2トップはJ1屈指の破壊力を秘めている 【写真:アフロスポーツ】

 2・3月度の「2022明治安田生命Jリーグ KONAMI 月間MVP(J1)」に、鹿島アントラーズのFW上田綺世が選出された。ガンバ大阪との開幕戦で2ゴールを奪い、4月に入った今も3試合連続ゴールをマークするなど、好調を維持している。得点パターンが豊富で、論理的な思考を備える国内屈指のストライカーの頭の中を覗いた。

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選択肢のレパートリーはたくさんあった方がいい

――2・3月度の明治安田生命J1リーグKONAMI月間MVP受賞、おめでとうございます。ガンバ大阪との開幕戦で2ゴールを奪い、3月19日の湘南ベルマーレ戦でもゴールを決めました。

 率直にうれしいですね。こうした賞はもらったことがないですから。

――2・3月のリーグ戦で最も印象に残っているゲームはどれですか?

 開幕戦ですね(G大阪戦/○3-1)。チームとしても、開幕戦はここ最近勝てないことが多かったので。新しい監督、スタッフになって最初の試合でもありましたから、すごく印象に残っています。

――その開幕戦では裏に抜け出してやや遠目から逆サイドに叩き込んだ1点目のシュートが話題になりましたが、個人的には2点目の方が「このタイミングで打つのか」と驚きました。上田選手の過去のゴールにも、あのテンポでのシュートはなかったと思いますが、最近トライしている形なのでしょうか?

 あの場面は、タロウ(荒木遼太郎)からパスをもらったんですけど、スペースがない中で、よりハイテンポでシュートを打つイメージで動き出しました。だから、イメージ通りのパスとトラップ、シュートがうまく合わさったゴールでしたね。最近ということで言えば、僕がプルアウェイしてタロウから足元にパスをもらう一連の流れは、2年くらい前から合わせているもの。それがたまたま、あの形でゴールになっただけという感覚です。

 あのシーンでシュートに持ち込むまでにはいろんな選択肢があって、あれを選ばず縦にグッと運ぶイメージもありました。自分の選択肢としてレパートリーはたくさんあった方がいいと思うし、あのゴールは、またひとつの引き出しを見せるきっかけになったんじゃないかなって思います。

ワンタッチなのか、ハイテンポなのか……

数あるレパートリーの中から、厳選された数枚の選択肢を思い浮かべ、一瞬で答えを出す――それができるのは、好調である証だ 【スポーツナビ】

――2・3月のゴールではないですが、4月6日のアビスパ福岡戦でトラップから素早く放った強烈なミドルシュートも印象的でした。しかも、0-0でゲームが推移していた後半に決めた。常々「チームを勝たせるゴールを奪いたい」と口にしているだけに、うれしさも格別だったのでは?

 僕は後ろの選手を信頼し切っていて、僕ら前の選手が点を取れなければ0-0で終わると思っているので、自分たちが決めるかどうかで勝負が決まるというメンタリティでプレーしています。前の選手がまとまって点を取りに行くことを意識していて、例えば、(鈴木)優磨くんがボールを持ったときの動き出しとか、一瞬一瞬ですけど、僕たちがゴールを取りに行くことと、チームを勝たせるということはイコールだと常に意識していますね。

――選択肢のレパートリーはたくさんあった方がいい、ということについて。2年半前にインタビューをしたときは、シュートチャンスが訪れたタイミングで選択肢が5枚くらいバババッと浮かび、そこから瞬時に切り捨てて1枚を選ぶ、と話していました。あれから引き出しの中身も増え、経験も積んだことで、選択肢の数自体が増えたのか、5枚の中身が変わったのか、選ぶスピードが早くなったのか、選んだプレーの精度が上がったのか、どういう感覚ですか?

 FWなので点が取れる時期と取れない時期、取れる試合と取れない試合は必ずあるんですけど、取れるとき、うまくいくときは、少ない枚数からより早く選んでいるんですよね。だから、アビスパ戦のゴールシーンも(和泉)竜司くんからパスを受けて前を向いたときに、「ワンツー」なのか、「切り返す」のか、「シュート」なのかという選択肢があって、相手の間合いが離れた瞬間にシュートを選べた。そのテンポの速さがゴールにつながったと思います。

 ガンバ戦の2点目も、タロウがパスを受けた瞬間には僕はすでにプルアウェイしていて、パスが入ってくるタイミングで「ワンタッチで打つ」のか、「トラップを大きくする」のか、「足元」か、「ハイテンポ」かで、ほぼ迷うことなく反射的に選べた。それが、簡単に言えばうまくいっている状態。今、その状態を作れているのが大きいです。

 選択肢には、成功体験や自信も関わってくるし、その幅は確実に増えてきています。そのレパートリーの多さがFWの価値に直結すると僕は思っていて。僕がアビスパ戦で決めたゴールシーンも、シュートの選択肢自体がないFWもいるでしょうし、別のFWにはそれ以外のシュートへの持って行き方があると思います。それがゴールに結びつくかどうか。ゴールに結びつく確率の高い選択肢を持っている方がFWとしての価値が高いんじゃないかと僕は思っています。

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著者プロフィール

飯尾篤史

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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