日本最高の投手へたどり着いた思考 ソフトB・千賀がトップである理由 Vol.2

中島大輔

愛知・蒲郡高時代は甲子園経験などもなく無名な投手だった千賀。2010年育成ドラフト4位でソフトバンクに入団すると、今や日本を代表する投手まで上り詰めた。何が千賀をそこまでの投手としたのか、その思考を探った 【スポーツナビ】

 2021年シーズンオフのストーブリーグで、大きな注目を集めた一つが千賀滉大の大型契約だった。所属球団の福岡ソフトバンクホークスと年俸2億円増の6億円で契約更改(金額は推定)。変動制の5年契約で、オプトアウト(契約破棄)条項も盛り込まれた。

 2010年育成ドラフト4位でソフトバンク入りした右腕投手は、名実ともに日本トップにたどり着いたと言えるだろう。“無名投手”としてプロの世界に飛び込んだ男は、なぜ誰よりも飛躍することができたのか。じっくり話を聞くと、その要因が浮かび上がってきた。

野球ができればOKではない

――今オフ、千賀投手はソフトバンクと大型契約を結びました。現在28歳で、一般的に野球選手としてピークとされる年齢に差し掛かっていますが、まだまだ伸びしろはあると自身では考えていますか。

 確かに何年も前から野球選手のピークは20代後半とされます。体が大人になっていき、柔らかさが少しずつ失われていきながら、でも体の使い方が安定してくる。同じ動作をずっと繰り返すので安定してきて、そこで結果を出しやすいからだと思います。

 でも、それって歩みを止めている人の話ですよね。僕にそんな考えは一切ありません。どんどんチャレンジしていったら、ピークなんて自分でいくらでも変えられる。僕はダルビッシュ(有/サンディエゴ・パドレス)さんからそう学びました。常に『自分はまだまだ』と思いながら、もっとやれることがあると考えながらすごしています。

――オンラインサロン「NEOREBASE(※)」で学んでいるのも、自身の成長に役立つからですか。

 本当にそういうきっかけです。ダルさんから連絡をもらって、『面白いから、入ってみな』と言われて入りました。
※早稲田実業時代に甲子園経験があり、現在は軟式で最速155キロを投げる内田聖人さんやBC茨城ピッチングコーチ兼S&Cコーチを務める小山田拓夢さんらを中心とした株式会社NEOLABが運営している野球のパフォーマンスアップを目的としたトレーニングを紹介しているオンラインサロン

――「NEOREBASE」を運営している内田さんや小山田さんは、NPB選手としての経験はありません。プロ野球では伝統的に、「プロ選手になったことのないヤツが、選手に教えられるはずがない」という風潮を感じますが、千賀投手にはそうした考え方はまったくないですか。

 プロ野球選手は、確かに野球をするのがうまい人たちです。でも、例えばフィジカルのことだったり、専門家からいろいろ勉強できることがあります。野球しかしていない僕たちが、フィジカルの専門家にその分野で勝てるわけがありません。野球人としてのプライドもあると思いますが、こっちが相手を常にリスペクトし、学ぼうとするから相手も教えてくれる。『野球ができればOK』と考えるのは、僕は違うと思います。

――「NEOREBASE」で学んだり、特に影響を受けたりしたことは?

 たくさんありますよ。フォーム的な部分、トレーニングの部分、いろいろ刺激になることがたくさんあります。運営している内田さんと小山田さんが、常に学ぼうとする姿勢も僕の空気感に合いますし、それが面白いなって感じますね。『僕らの考えはこれなので』と一方的に伝えるのではなく、次、次と学ぼうとしている姿勢が好きですね。

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著者プロフィール

中島大輔

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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