伊藤美誠に東京五輪で残った悔しさ 世界選手権は「中国に勝って優勝」

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東京五輪では出場した3種目でメダルを獲得した伊藤美誠。だが、残ったのは満足感ではなく悔しさだった 【写真:アフロスポーツ】

「目指しているのは3年後のパリではなく、今年の世界選手権です」

 東京五輪から2カ月後のインタビューで伊藤美誠はそう語った。東京五輪では出場3種目すべてでメダルを獲得した。東京五輪で初採用となった混合ダブルスでは日本卓球界初の五輪金メダル。女子シングルスではこちらも同種目で日本初のメダルとなる銅。女子団体ではエース対決を次々と制して銀メダル。だが、3つのメダルを手にしても、残ったのは満足感ではなく悔しさ。シングルス、団体と同年代のライバル・孫穎莎(中国)に敗れ、目標の全種目金メダルは叶わなかった。東京五輪での戦いを終えた翌日、伊藤はこう決意した。「次の世界選手権で中国に勝って優勝する」

指導する松崎太佑コーチは伊藤を「完璧主義」だと評すが、納得いかないことがあれば時には日付が変わるまでボールを打ち続けた 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 だからこそ、五輪後は体を休めながらも、試合映像を見返すなど頭の中は卓球のことばかり考えていた。当初より予定を早めて練習を再開したのも「今やるしかない。勝つなら今しかない」と世界選手権への抑えきれないモチベーションからだった。

 伊藤は「私は東京五輪、延期前の2020年までのことしか考えていなかった」と語る。卓球競技史上最年少でのメダリストとなったリオ五輪の直後は成績が低迷した時期もあった。そこで意識が変わり、練習量は年々増え続けた。指導する松崎太佑コーチは伊藤を「完璧主義」だと評すが、納得いかないことがあれば時には日付が変わるまでボールを打ち続けた。それだけの決意を持って臨んだ東京五輪だったからこそ、パリのことは考えていなかった。それが冒頭の言葉につながる。
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