100回目の選手権で頂点を狙う神村学園 “良いチーム”止まりでは終わらない
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こだわったのは“ボールを運ぶ”プレー
5年連続9回目の出場となる神村学園。鹿児島県予選決勝では、エース福田(写真)のハットトリックなどで最大のライバルである鹿児島城西を4-0で下した 【松尾祐希】
その歴史をたどれば、記憶に深く残るチームがいくつもあった。小嶺忠敏監督(現・長崎総科大附監督)の下、1980年代後半から2000年代前半にかけて6度の日本一を達成した国見。90年代以降に5度頂点に立っている市立船橋。98年度に帝京との「雪の決勝」を制して3冠を成し遂げるなど、過去3度の優勝を誇る東福岡。そして、直近5年で日本一2回、準優勝2回と文句なしの結果を残している青森山田──。
改めて高校サッカー界で一時代を築いた強豪校を並べてみると、いずれも勝負に対する絶対的な“強さ”を持っていたように思う。どれだけ戦術がアップデートされても、選手個々の能力が向上しても、全国の頂点に立つための最低条件は今も昔も変わらない。歴史に名を残してきた高校は、もちろん例外なく“良いチーム”であったが、それだけではなくここ一番に“強いチーム”でもあった。
100回目の節目を迎える今大会においても、“良いチーム”から“強いチーム”へと変貌を遂げようとしている高校がある。それが、鹿児島県代表の神村学園だ。
チームを率いるのは、鹿児島実の選手として95年度大会の選手権を制した(静岡学園との両校優勝)有村圭一郎監督。中等部の監督だった2014年に竹元真樹前監督からバトンを受けて以降、チームが追求する攻撃的なスタイルに磨きをかけてきた。
とりわけこだわったのが、“ボールを運ぶ”プレーだ。単純にパスをつなぐだけではなく、個人の力で前進する動きを求める。センターバック(CB)の選手であっても、チャンスと見れば果敢に持ち上がることをいとわない。そしてアタッキングサードでは、複数の選手がボールに関与しながら、アイデアに富んだ崩しを見せる。
長年にわたって積み上げてきたサッカーは徐々に花開き、選手権は今大会で5年連続出場。あと一歩のところで勝ち切れず、有村監督就任後は昨年度のベスト16が最高成績(過去最高成績は06年度のベスト4)だが、選手個人を見れば飛躍を遂げた者が少なくない。すでにJリーグの舞台では、卒業生の橘田健人(MF/桐蔭横浜大→川崎フロンターレ)や高橋大悟(MF/清水エスパルス→ギラヴァンツ北九州)が活躍中。現チームでもFW福田師王とMF大迫塁(いずれも2年)が、世代別代表に名を連ねる。
さらに来年度には、今夏の全国中学校サッカー大会で初優勝を果たした神村学園中から、U-15日本代表のFW名和田我空が進学予定。中等部も含めたチーム強化が軌道に乗り、あとは結果を残すだけという段階にまできている。
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