100回目の選手権で頂点を狙う神村学園 “良いチーム”止まりでは終わらない

松尾祐希
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 第100回大会となる今年度の全国高校サッカー選手権(12月28日開幕)。11月14日には48の各都道府県代表校のうち、46校が出そろい、いよいよ冬の風物詩が近づいてきたと実感するが、ではこの記念すべき節目の大会を制するのは、果たしてどの高校か。前回大会のファイナリストである山梨学院と青森山田をはじめ、有力校がひしめく中で注目したいのが、鹿児島県から5年連続9回目の出場となる神村学園だ。選手権の過去最高成績は2006年度のベスト4で、インターハイでも頂点に立ったことはないが、さまざまな困難を乗り越えた九州屈指のタレント軍団は、悲願の全国制覇に向けて着々と準備を整えている。

こだわったのは“ボールを運ぶ”プレー

5年連続9回目の出場となる神村学園。鹿児島県予選決勝では、エース福田(写真)のハットトリックなどで最大のライバルである鹿児島城西を4-0で下した 【松尾祐希】

 全国高校サッカー選手権は、今年度で記念の第100回大会を迎える。

 その歴史をたどれば、記憶に深く残るチームがいくつもあった。小嶺忠敏監督(現・長崎総科大附監督)の下、1980年代後半から2000年代前半にかけて6度の日本一を達成した国見。90年代以降に5度頂点に立っている市立船橋。98年度に帝京との「雪の決勝」を制して3冠を成し遂げるなど、過去3度の優勝を誇る東福岡。そして、直近5年で日本一2回、準優勝2回と文句なしの結果を残している青森山田──。

 改めて高校サッカー界で一時代を築いた強豪校を並べてみると、いずれも勝負に対する絶対的な“強さ”を持っていたように思う。どれだけ戦術がアップデートされても、選手個々の能力が向上しても、全国の頂点に立つための最低条件は今も昔も変わらない。歴史に名を残してきた高校は、もちろん例外なく“良いチーム”であったが、それだけではなくここ一番に“強いチーム”でもあった。

 100回目の節目を迎える今大会においても、“良いチーム”から“強いチーム”へと変貌を遂げようとしている高校がある。それが、鹿児島県代表の神村学園だ。

 チームを率いるのは、鹿児島実の選手として95年度大会の選手権を制した(静岡学園との両校優勝)有村圭一郎監督。中等部の監督だった2014年に竹元真樹前監督からバトンを受けて以降、チームが追求する攻撃的なスタイルに磨きをかけてきた。

 とりわけこだわったのが、“ボールを運ぶ”プレーだ。単純にパスをつなぐだけではなく、個人の力で前進する動きを求める。センターバック(CB)の選手であっても、チャンスと見れば果敢に持ち上がることをいとわない。そしてアタッキングサードでは、複数の選手がボールに関与しながら、アイデアに富んだ崩しを見せる。

 長年にわたって積み上げてきたサッカーは徐々に花開き、選手権は今大会で5年連続出場。あと一歩のところで勝ち切れず、有村監督就任後は昨年度のベスト16が最高成績(過去最高成績は06年度のベスト4)だが、選手個人を見れば飛躍を遂げた者が少なくない。すでにJリーグの舞台では、卒業生の橘田健人(MF/桐蔭横浜大→川崎フロンターレ)や高橋大悟(MF/清水エスパルス→ギラヴァンツ北九州)が活躍中。現チームでもFW福田師王とMF大迫塁(いずれも2年)が、世代別代表に名を連ねる。

 さらに来年度には、今夏の全国中学校サッカー大会で初優勝を果たした神村学園中から、U-15日本代表のFW名和田我空が進学予定。中等部も含めたチーム強化が軌道に乗り、あとは結果を残すだけという段階にまできている。
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著者プロフィール

1987年、福岡県生まれ。幼稚園から中学までサッカー部に所属。その後、高校サッカーの名門東福岡高校へ進学するも、高校時代は書道部に在籍する。大学時代はADとしてラジオ局のアルバイトに勤しむ。卒業後はサッカー専門誌『エルゴラッソ』のジェフ千葉担当や『サッカーダイジェスト』の編集部に籍を置き、2019年6月からフリーランスに。現在は育成年代や世代別代表を中心に取材を続けている。

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