連載:高校サッカー選手権 あのヒーローはいま

史上初の高校三冠に選手権連覇 最強・東福岡を支えたCB金古聖司

栗原正夫
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金古聖司は東福岡で1997年度と98年度に高校サッカー選手権連覇を果たした 【写真:権藤和也/アフロスポーツ】

「ちょっと納得がいかないんですよね。一応、Jリーグにも行ったわけですし。なんかプロで活躍できなかったと言われているような気がして(苦笑)」
 
 高校卒業後、Jリーグで10年、海外で7年、プロサッカー選手としてプレーした金古聖司(元鹿島アントラーズなど)は、選手権出場から20年以上が経ったいまでも「東福岡の金古」といわれることが、少しだけ嫌だといたずらっぽく言った。

 ただ、それほどまでに東福岡高時代の金古が選手権で見せたパフォーマンスが強烈だったということだろう。

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 金古は東福岡で1997年度と98年度に選手権連覇を経験している。2年時の97年度は1つ先輩のMF本山雅志(元鹿島など)らとともにインターハイ、全日本ユース(現高円宮杯 U-18リーグ)、冬の選手権を制すなど史上初の高校三冠を達成しただでなく、選手権ではセンターバックでありながら5ゴールを挙げ、藤枝東のFW河村優(元コンサドーレ札幌など)と並び得点王を獲得。翌年は主将として連覇を果たしたチームをまとめ上げた。

 高校3年にして翌年にワールドユース(現U-20ワールドカップ)を控えたU-19日本代表のレギュラーに定着し、1学年上の小野伸二(FC琉球)や本山らとともにアジアユース選手権で準優勝を経験。当時A代表とユース代表監督を兼任していたフィリップ・トルシエ監督からの信頼も厚く、将来の日本代表候補としても大きな期待を集めていた。

雪が東福岡に味方?「晴れていたら、厳しかったかも」

MF本山雅志(写真中央)らとともに高校三冠を達成。大雪のなかでの帝京(東京)との決勝は多くのサッカーファンの脳裏に刻まれている 【写真:アフロスポーツ】

「トルシエ(監督)に気に入られていた部分はありましたね。選手権も見に来てくれていましたし。昔のことですが、高校時代はいい思い出です。(三冠を達成した)2年のときは、負ける気がしませんでした。練習試合では、武南(埼玉)に7失点くらいするなどボコボコにやられた試合もありましたが、不思議と勢いがあって。選手権でも、自信があったのか『いつも通りやろう』とリラックスして戦っていたのを覚えています」

 97年度の公式戦は51試合を戦い、49勝2分けと無敗。金古と千代反田充(元アビスパ福岡など)の2年生コンビが組んだセンターバックは強固で、攻撃的なMFにはテクニックとアイデアに富んだ本山と宮原裕司(元名古屋グランパスなど)が並び、サイドにも右に古賀大三、左に古賀誠史(元福岡など)と爆発力のある選手がそろった東福岡は、ピッチの横幅をいっぱいに使った攻撃力ある魅力的なサッカーを展開していた。

「当時の九州の高校サッカーといえば『とにかく走って戦う』のがイメージ。2トップのチームが多いなか、4-1-4-1という並びも斬新でしたね。左の誠史さんは、スピードだけでなく力強さがあって、中央からの崩しは本山さんが起点。やっていた自分たちもたちも楽しかったですし、見ていた方々にいまだに面白かったと言っていただけるのはうれしい限りです」

 とりわけ大雪のなかでの帝京(東京)との決勝は多くのサッカーファンの脳裏に刻まれている。
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著者プロフィール

1974年生まれ。大学卒業後、映像、ITメディアでスポーツにかかわり、フリーランスに。サッカーほか、国内外問わずスポーツ関連のインタビューやレポート記事を週刊誌、スポーツ誌、WEBなどに寄稿。サッカーW杯は98年から、欧州選手権は2000年から、夏季五輪は04年から、すべて現地観戦、取材。これまでに約60カ国を取材で訪問している

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