プロ野球・球種別最強投手は誰だ!?<スライダー編>

OB捕手が選ぶ「スライダーの名手」9選 超一流のスライダーは何が違うのか?

前田恵
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“一流のスライダー”を数多く受けてきた元捕手・野口寿浩(左)が名投手たちとのエピソードを語る 【写真は共同】

 21年ものプロ生活で、ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団を渡り歩いた野口寿浩は、野村克也、星野仙一、岡田彰布といった「名将」から多くの野球理論を吸収してきた。野口氏によるとスライダーといっても投手によって曲がり方、落ち方は千差万別。プロに入れるような投手ならばほぼ全員が投げられるといってもよいベーシックな球種であるスライダーだが、超一流のスライダーは何が違うのか? 現役時代に伊藤智仁、ジェフ・ウィリアムスらとバッテリーを組んだ経験がある野口氏にキャッチャー目線から解説してもらった。

伊藤智さんのスライダーは“背中の後ろから曲がる”

野口寿浩が忘れられない伊藤智仁とバッテリーを組んだときの思い出とは? 【写真は共同】

――野口さんが現役時代、バッテリーを組んだ中で“スライダーの名手”といえば、誰でしょうか?

 伊藤智仁さん(元ヤクルト)とジェフ・ウィリアムス、中村泰広(共に元阪神)……。

「スライダー」といえば、ファンのみなさんからも伊藤智仁さんの名前が真っ先に挙がると思います。右バッターの背中の後ろからアウトローに決まるスライダー。初めて捕ったときは、ビックリしました。あれだけ曲がって、なおかつスピードがあるスライダーは、相手バッターにとっては厄介だろうなと思いましたね。

 ジェフは左のサイドスローで、真横に曲がってくる軌道です。スピードがあって、曲がり幅も大きかった。右バッターが空振りしたうえ、体にボールが当たっていましたからね。150キロ近い真っすぐに、スライダーも130キロ後半のスピードがありました。

 中村も左腕で、横にえげつなく変化するスライダー。たまに縦スラも投げていましたが、ほぼ横ですね。壁にぶつかって戻ってくるような曲がり方でした。あれだけの曲がり幅でジェフ同様130何キロかのスピードが出るのは凄いですよ。カーブとチェンジアップも持っていましたが、スライダー以外の変化球はコントロールに難があったので、「困ったらスライダー」という形でした。リリーフから先発に転向したときも、9割がた真っすぐとスライダーで、ある程度抑えていましたね。

――伊藤智仁さんとバッテリーを組んだ試合で、忘れられないシーンはありますか?

 それが、やられたシーンなんですよ。
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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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