大谷翔平の魔球“ジャイロスプリット” その軌道はMLB全体で0.1%未満
2018年と今季の投球をデータ分析。大谷が打たれない秘密は魔球“ジャイロスプリット”にある 【Getty Images】
「真似して投げたりしたのか?」
続いた質問に、珍しく会見で相好を崩す。
「どうなんですかね。僕は投げられると思って、子供の頃、真剣にやってましたけど。ハハハハハ。今はちょっと、僕の実力では難しいなと」
いやいや。大谷は今、そのジャイロ回転の球を投げている――スプリットだが。それを指摘すると、「ってことは、ジャイロスプリッターでいいかなと思います。意識しちゃうかも」とさらに声を出して笑った。
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18年と比べて落下幅は14.9センチ大きく
ジャイロスプリットの場合、通常のスプリットよりも落差が大きくなることが分かっており、大谷の場合も、通常のスプリットだった2018年と比較すると、今年は14.9センチも落下幅が大きくなっている。ざっくり言ってしまえば、それが打たれない理由のひとつだが、そこを掘り下げる前にまずは大谷のスプリットの回転がジャイロであることを確認していきたい。
それはもし、1秒間で3000〜3500コマの撮影が可能なエッジャートロニックカメラで確認できれば一番正確だが、その映像はないので、回転効率を計算してみた。
回転効率とは、回転がいかに効率的にボールに伝えられているかを示す数値。進行方向に対して回転軸が90度の場合、きれいなバックスピンがかかっていることになり、その際の回転効率は100%だ。このとき最大のマグヌス効果が期待でき、フォーシームであれば、浮き上がるような錯覚を打者に与えられる。逆にこの数値が低いと、キレを欠くと映るのではないか。軌道を決定する上では、回転数よりもはるかに重要な数値だ。
一方、回転軸が進行方向に向いていれば、回転効率は0%。このとき、ボールはジャイロ回転する。大谷のスプリットがジャイロ回転をしているならば、回転効率がかなり低いはずで、前半最後の登板となった6日の試合後、スプリットの回転効率を計算してみると、16%(※)だった。
※回転効率を計算するため、球速、変化量、回転数に関しては、MLBが提供しているStatcastのデータを「baseballsavant.com」から抽出し、それを米イリノイ大のアラン・ネイサン名誉教授が、「Determining the 3D Spin Axis from Statcast Data」という論文で公開している計算式に当てはめて算出した。
MLBでジャイロスプリットを投げる投手は?
(左が2018年の回転軸、右が今年の回転軸。ドライブラインがEDGEで提供しているサービスを利用。使用にあたっては事前に許可を取った。以下同)
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