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ダルビッシュと共演、選手から絶大な支持
“ピッチングニンジャ”とは何者か?

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ダルビッシュから突然DMが…


 カブスに所属していたダルビッシュ有(現パドレス)からツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)が届いたのは、昨年8月のこと。


「シェーン・ビーバーのナックルカーブの握りがよく分かる映像はありませんか?」


 そのとき、「妻と自宅近くのレストランで食事をしていた」という“ピッチングニンジャ”ことロブ・フリードマンは驚き、スマートフォンに視線を落としたまま、どう返信すべきか考えていた。


 すると、「あなた、食事のときぐらい、スマホを見るのをやめたら?」と、1971年にオリオールズの選手が日米野球で来日し、都内観光をしたときにガイドを務めたという、元はとバスのバスガイドを母に持つ日系二世の妻、パトリシアさんから怒られた。しかし、「ダルビッシュからDMが送られてきたんだ。早く返信しないと、失礼だろう?」と返せば、回転がいかに効率的にボールに伝えられているかを示す回転効率の意味を解する奥さんから、「なら、早くしてあげて」と逆に急かされた。


 家に戻ったフリードマンは、投手ごとにさまざまな映像を保存してあるフォルダの中から、ビーバーのものを開くと、角度的に握りの分かりやすい映像を探し、ダルビッシュに送る。するとダルビッシュからは、「そうか、分かった!」という返事が届いた。


 結論から言えば、ダルビッシュはナックルカーブを試したもののしっくりこなかった。しかし、その握りをスライダーに応用し、8月23日のホワイトソックス戦で試したところ、球速が増し、曲がり幅の大きな“スパイクスライダー”が誕生した。

ピッチングニンジャとはいったい…

ピッチングニンジャYouTubeチャンネルにダルビッシュ有が出演。ロブ・フリードマン氏(左)にボールの握り方などを解説している
ピッチングニンジャYouTubeチャンネルにダルビッシュ有が出演。ロブ・フリードマン氏(左)にボールの握り方などを解説している【スポーツナビ】

 その経緯は、2人の対談の中(※1)でも紹介されているが、ダルビッシュから届いたようなDMがメジャーリーグの投手から送られてくるのは、もはや珍しいことではない。

 内容も、「誰々の球は、どんな回転をしているのか?」「複数の球種を重ねた自分の映像も作ってほしい」。あるいは、「話がしたいから時間が取れないか?」などさまざま。フリードマンによれば、「シーズンに入ったら、選手と話がしにくくなると思っていたら、選手から連絡が来るので、多いときで週に2〜3人、インタビューをしている」そうだ。


 そんな彼が先週24日、NHKBS1の『ワールドスポーツMLB』で特集された。31日に第2弾、6月7日に第3弾が放送される予定だが、その取材で今月初め、アトランタ郊外にある彼の自宅を訪れたときも、ちょうどレッズの中継ぎで、29日の試合を終え、1勝0敗、防御率1.69という数字を残しているティージェイ・アントーンとの対談が予定されており、その彼も自らDMを送った1人だった。


 対談に割り込ませてもらって確認すると、「その通り。こっちから連絡をした」と教えてくれた。


 番組では、その様子も含めて取材させてもらったが、アントーンは各球種の握り、変化球の軌道、なぜ、そう変化するかを自分の言葉で説明。しかも、公開されることを前提に、だ。彼だけではない。メディアとは一定の距離を置き、ワンシームに近い自らのツーシームの握りを決して明かしてこなかったマーカス・ストローマン(メッツ)もそれをフリードマンに披露し、それがピッチングニンジャのYouTubeチャンネルで紹介されている。


 そもそもダルビッシュとの対談でも、ダルビッシュが、自身の全球種の握りを画面越しに解説しているのだが、果たして選手らがそこまで気を許すフリードマンとは、いったい何者なのか。


 24日の放送では、彼の日々の活動や、その意義、そこへ至る経緯などが紹介されたが、ここではその1回目を補足しつつ、見逃した人が、彼が大谷翔平(エンゼルス)やダルビッシュの分析をする第2弾、第3弾を楽しむために知っておきたいバックグラウンドをまとめてみた。

丹羽政善
丹羽政善

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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