かつて中田英寿以上の“才能”と評された男 財前宣之が仙台で歩むセカンドキャリア
現役時代に最も長い時間を過ごした仙台で、サッカースクールとジュニアユースチームを経営する財前宣之 【栗原正夫】
2021年4月、宮城県仙台市宮城野区にあるフットサル場では、そんなコーチの活気ある声が響いていた。一つひとつの練習の最初にはコーチが必ずメニューの趣旨を伝え、手本を見せる。子どもたちはそれに倣うようにボールを蹴っていた。
丁寧に子どもたちに声をかけながら、メニューの合間に自らマーカーコーンやビブスを用意していた、そのコーチの名は財前宣之。Jリーグ草創期からのサッカーファンなら、93年に日本で開催されたFIFA U-17世界選手権(現U-17W杯)でエースナンバー10を背負い、のちにA代表でワールドカップを経験する選手が何人も揃(そろ)ったチームのなか、中盤の司令塔として天才の名をほしいままにしていた彼の姿を覚えている方も多いだろう。30代以下の若い方なら、Jリーグのベガルタ仙台やモンテディオ山形で円熟味のあるプレーを見せていた姿のほうがなじみ深いかもしれない。
11年にタイのBECテロ・サーサナでのプレーを最後に引退した財前はいま、現役時代に最も長い時間を過ごした仙台に戻り、サッカースクールを経営しながら自ら指導の現場に立っている。
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仙台でサッカースクールとジュニアユースチームを経営
引退後は古巣ベガルタ仙台のスクールコーチを4年やって独立。現在「ZAIZEN FOOTBALL SCHOOL」は小学生から大人まで全部で週9クラスがあり、150人近くがボールを追いかけている。定員がいっぱいになっているクラスもあれば、なかには高速道路を使い通っている子どももいるといい、財前の表情からもその充実ぶりがうかがえる。
「スクールとジュニアユースを含めれば、200人くらいは来てくれています。現役時代は、漠然と引退後はオシャレなカフェなどをやってみたいなんて考えていましたが、現実は厳しいですから。ベガルタのスクールコーチをやっていたときは、自分が独立するなんて思ってもみませんでしたが、なんとか1年目から食べるのには困らない感じでやっています(苦笑)。
ベガルタでコーチをやっていた経験も生きていますし、街クラブだからこそ、ウチに来てくれた選手の価値をどう上げるかは、僕のプロデュース次第。経営をしていると‟リアル・サカつく”じゃないですけど、選手を獲って、指導して、(高校やクラブユースに)送り出すってすべてできるので楽しいですよ」
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