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「I’LL SHOW YOU」デリック・ローズ自伝
ローズが多くの経験をした14年世界選手権
「アディダスだからiPadが支給されない」

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第5回

2014年の世界選手権に出場したときに、自分の体に適したトレーニングにたどり着いた
2014年の世界選手権に出場したときに、自分の体に適したトレーニングにたどり着いた【Getty Images】

 自分の身体に鞭を打ちすぎていたことに気づいたのは、もう少しあとのことだった。


 僕の身体は他の人とは違う。若い頃はただプレイすることだけを考えていた。特に僕みたいに結果を出していると、そういったことは気にしないものだ。全てが自然で正しく感じるからだ。僕の身体はすぐに筋肉が付く。僕がやったことは結果的に身体のバランスを崩し、脚が自然にアジャストする機会を奪っていた。これを学ぶのに何年もかかった。片方の脚をもう片方より鍛えて、強くしすぎていた。そして次のリハビリでは、左脚を右脚より強くしていた。片方の脚に力を付けすぎていた。常にバランスが取れていなかった。でもあんな風に膝を痛めると、これまで経験したことのないことだから、何が普通なのか分からないんだ。そして周りはそれぞれ違ったことを言ってくる。大変だよ。すべて一人で抱えながら、疑問や分からないことだらけなのに、みんなはいつプレイするのか、今までのようにプレイできるのかってことしか気にしていない。

 自分の身体に適したやり方にようやく辿り着くことができたのは、アメリカ代表の一員として2014年の世界選手権に出場したときだった。「これまでとはトレーニングを変えて、ウェイトリフティングを抑え目にする。少し減量しなければ」という考えに変わった。体重が自分にとってかなり痛手となっていた。これもやはり経験しないと分からないことだった。色んな情報を伝えられて、医者でもない自分が決断しないといけない。分かりようがないよね。


 2014年の夏、ニューヨークでようやく色々と見えてきたんだ。ニューヨークでは医者に通っていた。海外行ったときにも医者に診てもらった。でもシーズンが始まるまで、なぜ僕の膝がまだ痛むのかを説明できる人は誰もいなかった。食事を少し変えて、減量を始めたことで、膝への負担は少しずつ軽減されていった。


 アメリカ代表でプレイできたのは良かったし、選んでくれたマイク・シャシェフスキー(アメリカ代表男子バスケットボールチームのヘッドコーチを2006年から2016年まで務め、三度のオリンピックでチームを金メダルへと導いた。長年デューク大学男子バスケ部のヘッドコーチも務めている。愛称はコーチK)とジェリー・コランジェロ(アメリカ代表バスケットボールチームのディレクター。長きにわたってフェニックス・サンズのGMを務め、一時はサンズのオーナーでもあった)にはとても感謝している。僕がスタメンから外れたことに不満を抱いていると思った人たちがいたのは知っている。でも実際はどうでも良かった。どちらかというと気になったのは、自分が先発しないという話をコーチKとコランジェロがしていたのが漏れ聞こえてきたことだった。カイリー・アービングを先発にするという話は伝えられていなかったけれど、彼らが会話しているのが聞こえてきたんだ。


 海外遠征で、僕がマッサージを受けているときだった。施術中にふたりの男性の声が聞こえてきた。海外だと壁が薄くて、なんでも聞こえてきちゃうんだ。彼らがカイリーについて、チームの未来について、チームの方向性について話しているのが聞こえてきた。聞けて面白い話ではあったよ。特に僕を悪く言っている訳でもなかった。ただ、彼を先発にするローテーションがいいんじゃないかという会話だった。信じられなかったのは、それについて公で普通に会話していることだった。しかも隣の部屋の僕に丸聞こえだった。それまで何試合か僕が先発し、何試合かはカイリーが先発していた。そして彼らは「先発はカイリーがいいね」と話していたんだ。別にそれに対して怒りは何もなかったよ。チームが勝てることが最優先だ。ただ会話を聞きながら「もっとプライベートな場所で話せないの?」とは思ったね。

デリック・ローズ、サム・スミス

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