D・ローズが考える黒人差別や貧困問題 「なぜ教育と健康にお金がかかるんだ?」

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第3回

ブルズからニックスへの移籍後は3球団を渡り歩き、今シーズン途中には恩師シボドーが率いるニックス復帰を果たした。好調なチームを支える活躍を見せている 【Getty Images】

 デイリー一家がシカゴを仕切っていたときにしたことを見てほしい(1955-1976までリチャード・J・デリーが、1989-2011まで息子のリチャード・M・デイリーが市長を務めている)。ダン・ライアン高速道路(1961年に建設された高速道路)があの場所に作られたことに深い意味は無いと思っているかい? あれはサウスサイドの地域を切り離し、デイリー一家がいるブリッジポート地域を守っているんだ。ブリッジポートには警察が沢山いて、その地域を守っていた。そして彼らが公営住宅と呼ぶ建物が建てられた。人々はその高層ビルに押し込められ、まるで監獄のようだった。
 シカゴはどうせギャングやドラッグだらけだなんて聞きたくない。シカゴは何で知られている? アル・カポネとイタリアンマフィアだろ? いろんな映画で描かれている。1893年の万博はどうだ? 多くの女性が行方不明となった話(当時、万博への来訪者を狙った連続殺人鬼、H・H・ホームズのこと)は聞いたことあるかい? 誰もそういうことについては話さないのに、シカゴが突然おかしくなったかのように言われる。黒人が狂ったことをやっているせいだということにされる。狂った黒人どものせいだってね。悪事を働いていたのはデイリー市長の一家だ。当時はギャングを使って黒人の住む地域で暴力を振るっていた。なのに問題なのは我々の方だって?

 今は手の付けられないような状況になっているが、これが突然起きたことかのように言わないでほしい。ここシカゴでさえ、アフリカ系アメリカ人にとってどれくらいのチャンスがあるのだろうか? シカゴはよく見ると、人種的に分断されている街だ。説明しよう。シカゴではお金を持っていたとしても、アフリカ系アメリカ人が特定の地域で不動産を買おうとすると問題に直面する。僕もダウンタウンで不動産購入を断られたことがある。当時付き合っていた女性がサロンを開業できるように、ミシガン通りの近くにある店を買おうとしたんだ。断られた。お金はもちろんあった。客層が「アーバン(元々は「都会的」という意味だが、近年では黒人層を暗に示す言葉)」になるという判断で断られたんだ。意味がわかるかな? 「彼ら」のミシガン通りに我々のような奴らが「来てしまう」という認識なんだ。
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