連載:2021高校スポーツの主役候補

センバツを逃した雪辱に燃える智弁和歌山 強大なライバルを倒し、灼熱の甲子園に

沢井史
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センバツ出場を逃し、甲子園連続出場が5季で途絶えた智弁和歌山だが、4番の徳丸やエースの中西など前チームからメンバーだった選手も少なくなく、全国の舞台で上位を狙えるだけの戦力を有する 【Photo by Katsuro Okazawa/AFLO】

 春のセンバツに出場できなかったとはいえ、戦力的には全国でも上位だろう。昨秋の近畿大会で準々決勝敗退に終わり、6季連続となる甲子園出場を逃した智弁和歌山。これまでに春夏通算3度の全国制覇を果たしている名門はリベンジに燃えている。秋に苦杯をなめた県内のライバル、高校ナンバーワンとも評される小園健太投手擁する市和歌山を打ち負かし、夏こそは甲子園の大舞台で躍動すると。

全国屈指の小園擁する市和歌山に3連敗

智弁和歌山にとって越えなければならない壁が、全国屈指の好投手・小園(写真)擁する市和歌山。昨秋には県新人戦、県大会、近畿大会と屈辱の3連敗を喫した 【写真は共同】

 2017年夏から19年夏まで5季連続で甲子園に出場し、中止となった昨春のセンバツも出場予定だった智弁和歌山にとって、今春のセンバツは久々に出場を逃した大会だった。90年代以降、県内はおろか、全国をリードしてきた強豪は、看板である打撃に加え、近年は投手力も安定。18年秋に、歴代1位の甲子園通算68勝を挙げた高嶋仁監督から元プロの中谷仁監督がバトンを受けてから、池田陽佑(立教大)、小林樹斗(広島)と150キロを超える速球を武器にするエース右腕が躍動した。

 そんな中谷監督が指導者になって、初めて厚い壁が立ちはだかったのが昨秋。全国屈指の右腕・小園健太擁する市和歌山に公式戦で3連敗を喫した。特に悔いが残るのが県大会の準決勝。7回まで3-1とリードしながら、8回の一死満塁のピンチで市和歌山の4番・松川虎生に走者一掃の左越え二塁適時打を許したのだ。9回に1点を返すも、この一打が響き、4-5で敗れた。この試合を指揮官はこう振り返る。

「打つほうに関しては、8回までは思い描いていた通りでした。総合力ではウチは負けていないと思っていましたが、8回、9回にチャンスがありながら結果を出せなかった。市和歌山はベンチがとても元気で、試合でも声が鳴りやまないチーム。でも、7回まではベンチがシーンとしていました。そこまでは想定通りだったのですが、終盤の攻防が勝敗を分けた試合でした」
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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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