連載:プロ野球・スピードスター列伝

赤星憲広が注目する現役最強ランナー6選 伸びしろ一番の若手選手は?

大利実
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現役時代、ダイヤモンドを駆け回り阪神ファンを沸かせた赤星。彼の目に令和のスピードスターはどう見えるのか? 【写真は共同】

 9年間の現役生活で歴代9位タイとなる381の盗塁を記録。ルーキーイヤーから5年連続で盗塁王に輝いた、2000年代の阪神を代表するリードオフマン・赤星憲広が、盗塁上手な現役選手を厳選。上位6人の特徴と凄みを語り尽くす。(取材日:4月7日)

世界記録をマークした周東の凄さ

――今回は赤星さんに「現役最強のランナー・トップ5」を選んでいただきたいです。

 難しいですねぇ。5人もいるかな……。

――厳しい見方ですね。

 盗塁で大事なのは、スタート・スピード・スライディングの3Sです。最近の選手を見ていると、スピードは持っていても、スタート、あるいはスライディングのどちらかが欠けている。「もったいないなぁ」と感じることが多いですね。

――そんな中で、赤星さんが選ぶナンバー1は誰になりますか?

 ソフトバンクの周東(佑京)選手です。あれだけ警戒されている中で、自信を持ってスタートを切れるのが何よりすごい。昨年は13試合連続盗塁の世界記録をマーク。事前にピッチャーのことをかなり研究していると思います。ピッチャーとのタイミングや間合いを計るのがうまい。そうでなければ、あそこまで走れないですよ。いいスタートが切れないときもあるはずですが、そのときはスピードとスライディングでカバーして、セーフにしています。

――昨年まで成功75に対して失敗は11。盗塁成功率.872と、驚異的な数字を残しています。「ピッチャーとのタイミング」とは、クセを盗むことにも関連しているのでしょうか?

 実際に話をしたことがないのでわかりませんが、最近はクセを利用して走る選手は減っているように感じます。僕の現役時代もそうでしたが、賢いピッチャーになると、クセを利用して逆を突いてくる。勝負所でクセに頼っていると、裏をかかれることがあります。

――赤星さんはいいスタートを切るために、どんなことを重視していましたか?

 配球を常に研究していました。どのタイミングで変化球を投げてくるのか。それも、僕が一塁ランナーに出ていることが条件になります。それ以外の場面で傾向を調べても意味がないので、一塁ランナー・赤星で、打者が誰のときに、どのカウントで変化球を投じるか。クイックがうまいピッチャーでも、変化球のときに走れば、成功の確率は上がります。

――周東選手に続く、ナンバー2は誰でしょうか?
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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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