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未完のスピードスター・周東佑京の目標
「グラシアルになりたいんですよ」

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スイッチ・スライディングで盗塁を量産

昨季は13試合連続盗塁の“世界新記録”を成し遂げた周東(写真左)。両脚でスライディングができる技術の高さはファンだけでなく、数々の球界OBをもうならせている
昨季は13試合連続盗塁の“世界新記録”を成し遂げた周東(写真左)。両脚でスライディングができる技術の高さはファンだけでなく、数々の球界OBをもうならせている【写真は共同】

 記録は破られるためにある――という言葉がある。だとしても「投」の金田正一、「打」の王貞治、そして「走」ならば福本豊の偉業に、現代のプロ野球では太刀打ちなどできないと思っていた。


 だがしかし、福岡ソフトバンクの周東佑京は昨季、“世界の盗塁王”の持つ記録を超えて、さらに大リーグ記録も上回って世界のトップに名を刻んだ。


 福本が1971年と74年にマークした11試合連続盗塁に、チームがパ・リーグ優勝を決めた翌日、昨年10月28日の千葉ロッテ戦で46年ぶりに並んだ。すると、翌29日の同カードの初回にいきなり二盗を決めて日本新記録を打ち立てた。さらに移動ゲームだった同30日の埼玉西武戦で13試合連続盗塁成功まで記録を更新。これで1969年にバート・キャンパネリス(アスレチックス)の大リーグ記録(12)も塗り替えて、周東は事実上の世界記録保持者となった。


 福本が「世界の盗塁王」と呼ばれる所以(ゆえん)は、1972年に記録したシーズン106盗塁を筆頭に、13年連続盗塁王、通算1065盗塁など、数々の金字塔を打ち立てたからだ。周東が塗り替えたのはその中のひとつにすぎない。しかし、あの福本氏が持つ盗塁記録をどんな内容であれ追い抜いたのだ。大偉業であることに異論はないはずだ。

 盗塁を成功させるカギとなるポイントは「3つのS」――スタート、スピード、スライディングと言われる。


 しかし、周東といえども全てを兼ね備えているわけではない。


 スタートに関してはまだまだ成長途上だ。ただし、それを補うだけの圧倒的なスピードが彼にはある。


 トップスピードが速いのは当然だが、そこに到達するまでの加速がとにかく早い。リードした体勢から左足で一歩目を踏み込み、右足で二歩目、そして次に左足を出す三歩目にはトップスピードに乗せるイメージを常に持つ。これを練習でのダッシュだけでなく、普段のウォーミングアップの時からも意識している。


 そして、3つ目の「S」のスライディングにもまた、周東の特殊能力を見ることが出来る。それが右足からでも左足からでも滑り込むことができるスイッチ・スライディングだ。二盗ならば二塁ベースの右端めがけて一直線に走り、左右どちらか合う方の足を突き刺すのを頭の中では描いているという。


 このスイッチ・スライディングは昨季の後半戦で盗塁を量産し始めたあたりから注目を集めたのだが、解説を求められた名だたる球界OBたちでさえ、その異能ぶりには仰天するばかりだった。

「全部出てこそ、本当のレギュラー」

俊足を武器にレギュラーへの道を駆け上がる周東(写真中央)だが、「グラシアル(同右)になりたい」という。その真意は?
俊足を武器にレギュラーへの道を駆け上がる周東(写真中央)だが、「グラシアル(同右)になりたい」という。その真意は?【写真は共同】

 周東はこれだけの才能を持ちながら、少し風変わりな目標を口にする。


「グラシアルになりたいんですよ」


 ソフトバンクの同僚であるキューバ砲の名前を挙げた。

田尻耕太郎
田尻耕太郎

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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