ファンの度肝を抜いた! 衝撃のスピードスターランキングTOP30
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スポーツナビでユーザー投票を実施した「ファンの度肝を抜いた! 衝撃のスピードスターランキング」。約1万人のプロ野球ファンが選んだ、歴代のスピードスターは誰だ!?
※1人3票まで投票可能
※ランキング上位と総評コラムはスポーツナビアプリでご覧いただけます
ランキング
順位 | 選手名 | 所属/プレー年 | 得票率 |
---|---|---|---|
1 | 周東 佑京 | ソフトバンク/2018~ | 37.42% |
2 | 赤星 憲広 | 阪神/2001~09 | 35.49% |
3 | 福本 豊 | 阪急/1969~88 | 22.09% |
4 | 荻野 貴司 | ロッテ/2010~ | 19.88% |
5 | イチロー | オリックスほか/1992~2019 | 14.98% |
6 | 鈴木 尚広 | 巨人/1997~2016 | 12.38% |
7 | 西川 遥輝 | 日本ハム/2011~ | 8.76% |
8 | 近本 光司 | 阪神/2019~ | 8.16% |
9 | 松井 稼頭央 | 西武ほか/1994~2018 | 6.31% |
10 | 本多 雄一 | ソフトバンク/2006~18 | 5.17% |
11 | 西岡 剛 | ロッテほか/2003~ | 4.70% |
12 | 荒木 雅博 | 中日/1996~2018 | 4.50% |
13 | 片岡 易之 | 西武ほか/2005~17 | 4.30% |
14 | 屋鋪 要 | 大洋ほか/1978~95 | 3.70% |
15 | 松本 匡史 | 巨人/1977~87 | 3.05% |
16 | 高橋 慶彦 | 広島ほか/1975~92 | 2.84% |
17 | 小坂 誠 | ロッテほか/1997~2010 | 2.53% |
18 | 山田 哲人 | ヤクルト/2011~ | 2.46% |
19 | 和田 康士朗 | ロッテ/2018~ | 2.11% |
20 | 福地 寿樹 | ヤクルトほか/1994~2012 | 1.84% |
21 | 秋山 幸二 | 西武ほか/1981~2002 | 1.57% |
22 | 金子 侑司 | 西武/2013~ | 1.44% |
23 | 石井 琢朗 | 横浜ほか/1989~2012 | 1.28% |
24 | 大島 洋平 | 中日/2010~ | 1.09% |
25 | 大石 大二郎 | 近鉄/1981~97 | 0.98% |
25 | 緒方 孝市 | 広島/1987~2009 | 0.98% |
27 | 糸井 嘉男 | 阪神ほか/2004~ | 0.92% |
28 | 高木 豊 | 大洋ほか/1981~94 | 0.91% |
29 | 中島 卓也 | 日本ハム/2009~ | 0.78% |
30 | 聖澤 諒 | 楽天/2008~18 | 0.70% |
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解説
思えば「盗塁」にまつわる言葉は、なんと物騒なものか。塁を「盗」もうと企てた走者を「刺す」。それだけスリリングで、鬼気迫る場面ということなのだろう。
ファンが度肝を抜かれた盗塁・走塁の魔術師、歴代スピードスターランキング。上位10人のうち実に9人が平成以降に活躍した面々、中でも4人が現役選手と“昭和は遠くなりにけり”をしみじみ感じる結果になった。
MLBが近くなった平成の時代を感じさせた2人は、14.98%の得票率で5位となったイチロー(元オリックスほか)と6.31%で9位の松井稼頭央(元西武ほか)だ。ともに日米両球界を経験し、NPBとMLB合算での通算盗塁記録はイチローが708で1位、松井が465で2位。日米で盗塁王に輝いたイチローにはその偉業を称える声のほか、「MLBオールスター(2007年)でのランニングホームランには度肝を抜かれた」とのコメントも(以下、「」はユーザーから寄せられたコメント)。松井は03年にマークした日本でのトリプルスリー、3年連続3割20本20盗塁達成(00~02年)など、長打力も加味し、「プレーの華々しさと相まって、すごく印象に残っている」と評された。
セ・リーグで同時期に活躍した赤星憲広(元阪神)と鈴木尚広(元巨人)。赤星は35.49%で2位に、鈴木は12.38%で6位となった。
赤星はドラフト4位で阪神に入団した01年、新人王と盗塁王をダブル受賞した。ケガで実働9年に終わったが、「気づいたら、二塁にいるイメージ」のスプリント力で、01年から05年まで5年連続盗塁王は立派のひと言に尽きる。「短期間のプロ生活での、まさに濃く短いスピードスター」など、その短い現役生活を惜しむ声が多数届いた。
一方の鈴木は代走に特化した“足のスペシャリスト”。一度も規定打席に到達せず、通算200盗塁を達成した初のNPB選手となった。通算228盗塁のうち、代走での記録が132個というのもNPB記録である。「相手バッテリーの最大限の警戒をかいくぐっての盗塁技術が素晴らしかった」とのコメントの通り、相手バッテリーが分かっていても刺せないスピードとテクニックに、ファンならずとも酔いしれた。14年、東京ヤクルト戦での『神の手』ホームインも忘れがたい。
現役組からは19年、NPB史上2人目の新人盗塁王に輝いた近本光司(阪神)が8.16%で8位。ちなみに史上初は赤星であり、阪神球団としても赤星以来の盗塁王となった。今や『赤星2世』と呼ばれ「塁にいると相手投手にプレッシャーをかけられる」と、チームになくてはならないリードオフマン。昨年も31盗塁を記録し、2年連続盗塁王を手中に収めた。
8.76%で7位となった西川遥輝(北海道日本ハム)は16年、規定打席到達者でのシーズン併殺打0という記録を成し遂げた。盗塁成功率も8割台後半と高いのは、“アウトになるなら走らないほうがいい”という自身の盗塁哲学も影響しているのだろう。「盗塁阻止技術が確立された現代においても、驚異的な成功率が素晴らしい」と、ユーザーも敬服しきり。
19.88%で4位の荻野貴司(千葉ロッテ)は、なんといってもルーキーイヤー(10年)の「開幕から46試合で25盗塁」が語り草だ。同年5月末に右ひざ負傷でリタイアしたのが、10年経った今も悔やまれる。「とにかく衝撃的。特に1年目は右打者なのに内野安打をもぎ取りまくっていた」「ルーキー時代のなんでもないショートゴロを悠々とセーフにする速さには、度肝を抜かれた。しかも現在37歳になるというのに、速さは全く衰えていない」と、ファンは今もなおベテランとなった荻野の足に魅了されている。
37.42%で1位を獲得したのは、昨季のパ・リーグ盗塁王・周東佑京(福岡ソフトバンク)。育成ドラフト出身で、プロ入り2年目の19年に支配下登録されるや、チームトップの25盗塁を記録した。その年のオフ、第2回プレミア12日本代表に選出されると、代走で大会最多の4盗塁を記録。昨季は規定打席未到達ながら、50盗塁でタイトルを獲得した。「二盗三盗周東」のキャッチフレーズがよく似合う「稀代のスピードスターであり、若いので、これからも伸びると考えると末恐ろしい」。
その周東は昨季、プロ野球新記録の12試合連続盗塁を決めたとき、「この記録は1人では作れなかった」とコメントした。周東の記録を後押ししたのは、かつての盗塁王・本多雄一(元ソフトバンク)だった。師弟コンビの“師”は5.17%で10位にランクイン。「2010年、ロッテファンとして応援に行ったヤフードームで出塁したらほぼ100パー盗塁していて、憧れの野球選手となった」「本多コーチと周東の師弟コンビは特にたまらん」と、ファンの心をわしづかみにしている。
さて、トップ10に唯一入った“昭和のレジェンド”は、『世界の盗塁王』福本豊(元阪急)である。22.09%で3位となった。「何しろ年間106盗塁、生涯盗塁数1065盗塁。スピードスターといえば福本選手でしょう」とユーザーもうなる通り、この記録を抜くのは至難の業だ。現役時代、肩のあまり強くなかった捕手・野村克也(元南海ほか)が、福本を刺すにはピッチャーの協力が不可欠で『(福本が塁に出たら)小さいモーションで投げろ』と口を酸っぱくして言った。この『小さいモーション』が今でいう『クイック投法』。福本はクイックの片親、というわけだ。
今季も高松渡(中日)など、ファンの目を奪う新星が誕生しつつある。記憶と記録に残るスピードスターたちから断然、目が離せない。
(文:前田恵、企画構成:スリーライト)