F1専門メディア 角田裕毅の実力に太鼓判「歴史塗り替える」「トップを目指せる」
角田裕毅はF1で通用するのか、しないかのレベルを超えている。トップを狙える逸材とF1専門メディアは口をそろえる 【Photo by Peter Fox/Getty Images】
開幕戦で歴史が塗り替えられる可能性も
日本人では7年ぶり、10人目のフルタイムドライバーとしてF1デビューを果たす角田裕毅。彼に寄せられている期待の高さは、これまでの9人をしのぐレベルと言えるだろう。
角田の才能を称賛しているのは、何も日本のメディアに限った話ではない。海外のニュースサイトでも、連日のように角田に関する見出しが躍っている。それは彼が、多くの関係者が見守るF1の前座レースで輝きを放ち、さらにプレシーズンテストで驚異的な走りを見せたからだ。
彼の魅力はその速さ。先日のF1開幕前テストでは、総合2番手タイムをマークした。しかも、トップチームであり、チャンピオン候補と目されるマックス・フェルスタッペンと遜色ないラップタイムを記録。世界中から注目を集めるのも当然と言えよう。また、昨年のFIA F2ではルーキー最多となる4度のポールポジションを獲得。フリー走行でも何度もトップタイムを記録するなど、純粋な速さは際立っていた。
F1の決勝に出走したことがある17人の日本人ドライバーの中で、デビュー戦でのグリッド最上位は、1976年F1世界選手権イン・ジャパンで長谷見昌弘が獲得した10番手。初陣でシングルグリッドに並んだ者はいない。しかし、角田本人とアルファタウリAT02のポテンシャルを鑑みれば、開幕戦バーレーンGPでその歴史が塗り替えられる可能性は十二分にあるだろう。
そして角田最大の強みと言えば、その学習能力の高さ。角田はFIA F3、F2をそれぞれ1年で“卒業”しているが、それぞれの獲得ポイントを前半戦と後半戦に分割すると、F3は11:56、F2は82:118。これは角田がいかに素早くミスから学び、結果につなげているかを物語るデータだ。
過去2シーズンがそうであったように、角田はF1初年度が終わるころには、我々が想像もしなかった領域まで到達しているかもしれない。
F1トップを目指せるほどポテンシャル高い
もはや、角田裕毅はF1で通用する、しないのレベルを超えたと言っても過言ではない。使用したタイヤの種類は違えど、開幕前のテスト最終日で2番手タイムをマークした実力は運だけでは成し遂げられない。ここからは、角田がF1のトップに挑めるのか否かを焦点に考えたい。
国内で走っていたF4、そして渡欧してからのF3、F2、そのすべてのカテゴリーで角田は常にトップクラスの速さを見せてきた。昨年のF2ではさらにレース中のタイヤマネジメントのうまさ、レース巧者ぶりも見せ、レーシングドライバーとして著しい成長を見せている。プレシーズンテストで見せた角田の速さ、そして今年のアルファタウリのシャシーの素性の良さ、ラストシーズンに詰め込んだホンダ製パワーユニット(PU)のパフォーマンスの高さを考えると、開幕戦から予選Q3、予選グリッド上位5列目、10台に入ってくるはず。そしてレースでも8位以内の入賞圏内を争う走りを見せてくれるに違いない。
角田の置かれた状況を考えると、ホンダのラストイヤーという今年が角田にとって来年以降、F1に生き残れるか否かを決める唯一のシーズンとなる。F1デビューイヤーだからといって、『未経験』や『勉強中なので』という言い訳が許されない、初戦から結果が求められる厳しい立場なのは間違いなく、そのことは本人も当然、自覚しているはず。
まずは昨年F1初優勝を果たしている強力なチームメート、ピエール・ガスリーを開幕戦の予選、そして決勝から上回るパフォーマンスを見せ、そして今年のシーズン途中には来季のF1残留、さらにそれ以上、トップチームであるレッドブルへの昇格を発表できるくらいの活躍を期待したい。
今の角田の実力、そしてアルファタウリのマシンとホンダの強力なPUという恵まれた環境を十分に生かせば、その可能性は少なくないと見ている。F1のトップを目指せる。そのくらい、角田のポテンシャルは高い。