PL学園「甲子園の名勝負」 元NHK小野塚康之アナが選んだ試合は?
選手への愛情に満ちた「絶叫実況」で高校野球ファンに親しまれてきた小野塚氏。PL学園が数々のドラマを生んだ甲子園球場の前で 【写真提供:小野塚康之】
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「これ以上の高校はない」と思われた池田を圧倒した衝撃
向かうところ敵なしだった池田を、4番もエースも1年生というPLが7-0で撃破。小野塚氏は「あれ以上の衝撃はない」と語る 【写真は共同】
「高校野球の歴史上、学校名にアルファベットが入った甲子園優勝校はPLしかない。僕にとってはビジュアルな学校なんですよ。野球の放送の歴史はラジオから始まりましたが、テレビで印象付けたのがPLだった。アルプススタンドは添え物でしかなかったのに、あのPLの人文字が出てきた瞬間にカメラが意識するようになった。
『スタンドで何が起きるのか』と実況中継が始まる。『進めPL』から『春 花咲く』に人文字が変わる瞬間を撮る。それまではグラウンドで繰り広げられるプレーしか映像で撮らなかったけど、スタンドの光景も非常に重要な要素になりました」
メディアに携わる人間として、PL学園の登場は新鮮であり斬新だった。ただ物珍しかったのではない。高校野球の枠を超えて社会現象になったのが、清原和博、桑田真澄の「KKコンビ」で黄金時代を築いた1983〜85年の3年間だった。KKコンビは1年夏から5季連続で甲子園に出場し、2度の全国制覇、2度の準優勝と輝かしい成績を収める。
小野塚アナが最も印象に残る試合として挙げたのは、清原、桑田が1年生だった83年夏の準決勝、3季連続優勝を目指す池田高を7-0で撃破した一戦だ。
「桑田投手が完封、さらにホームランも打って、エース・水野雄仁擁する池田高を圧倒した。あれ以上の衝撃はないです。池田高は全国制覇した前年夏に、準々決勝で早実のエース・荒木大輔をメッタ打ちにして14-2と圧勝しています。
あの時の池田高は当時では珍しくウエイトトレーニングを導入するなど、パワーとフィジカルを前面に押し立てたスタイルで高校野球を変えた。力強いスイングからの打球が速すぎて内野ゴロがヒットになる。これ以上の高校は出てこないだろうと思ったら、1年後にKKコンビが出現して投打で圧倒した。
当時は『すごい』で片づけられたけど、時代を進めようとした池田高の野球に対し、PLは技術をベースにしたそれまでの伝統も引き継ぎつつパワーも取り入れて大きくステップしたチームだと思います。高校野球の歴史が動いた2年間でした」
PLの良さが出ないまま負けた唯一の試合
KKコンビ2年の春、決勝で岩倉に敗れて2季連続優勝を逃す。当時、小野塚氏は「なぜ負けてしまったのか」と頭の中がクエスチョンマークだらけになったという 【写真は共同】
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