スペインで驚いたこと、難しさは? 岡崎慎司が考える、欧州で生き残る選手

工藤拓

乾に続く日本人が増えてほしい

今後スペインでプレーする日本人選手が増えるかどうかは、岡崎らに懸かっている。日本人が勝利に貢献できることを証明したい 【Getty Images】

――昨年10月、日本代表に招集されましたが、ケガで辞退しました。再び日本代表に復帰する準備はできていますか?

 今の体調はすごく良いですし、チームと一緒に残留を目指して頑張っているところです。もちろん日本代表に入れるならいつでも行ける準備はしていますし、今でも行きたいという思いはすごく強いですね。あとは必要かどうか、そう判断されるかどうか、だと思うので、今はウエスカで頑張って、まずは残留を目指したいなと思います。

――近年、なぜスペインでプレーする日本人選手が増えていると思いますか?

 もともと日本の選手たちはスペインのサッカーが好きで、よくラ・リーガを見てきたこともあると思います。やっぱりパスサッカー、そういうチームプレーに共感できるところがたくさんあります。だから、日本人がスペインでプレーしたいと思うんじゃないでしょうか。

 ただ、レベル、スピードは日本人が考えているよりも激しい。たぶん日本人はみんな最初ビックリすると思いますけど、そこに慣れてくれば自分たちの良さも生かせると思います。スペインで活躍している選手としては、乾貴士選手(エイバル)が一番だと思います。そこに続いていく日本人が増えてほしいなと。僕自身も1部でそれだけ活躍したい思いがあります。今後もスペインでプレーしたい日本人選手はどんどん増えてくるんじゃないかと思います。

――スペインのクラブに好まれる日本人選手の特徴とは?

 正直まだまだ日本人を獲りたいと思わせる部分が少ないので、日本人はよくドイツに行くんでしょうね。スペインになかなか行けない現実があるんだと思います。それでも、ここ最近こうやって4人の選手(岡崎、乾、武藤嘉紀、久保建英)が1部でプレーしているので、日本人がチームに入ってより勝利に貢献できると認められているんじゃないでしょうか。乾選手や他の選手が活躍することで認められる部分が多いと思うので。

 次につなげるためには、僕自身もそうですけど、スペインでプレーしている日本人選手が、勝利に貢献できる選手かどうか、そう判断されることが一番重要だと思います。結果もそうだし、得点あるいはアシスト、さらに試合に出たら勝利に貢献できるところ。それを日本人として出していかなければいけないのかなと思います。

精神的に強い選手が欧州で戦っていける

レスターではプレミアリーグ制覇に貢献。岡崎は強い精神力で厳しい戦いを生き抜いてきた 【Getty Images】

――これからヨーロッパでキャリアを築こうとしているアジア人選手たちの現状をどう見ていますか?

 日本も含めたアジアの選手たちがヨーロッパでプレーすることは、昔よりも身近になっていると思います。最近、日本の子供たちに「日本のサッカー見てる?」って聞いたら、「ヨーロッパのサッカーを見ている」という方が多いほど、ヨーロッパのサッカーが人気なんですね。

 実際、行ってみて初めてのことだったり、文化の違いだったり、サッカー以外の部分も含めて苦労があると思うので、そういうものを楽しめるような選手は、生き残っていくんじゃないかと。競争が激しい、うまい選手だけじゃなくて、たくさんの特徴を持った選手たちがいっぱいいます。その中で揉まれて、さらに自分の良さを出せる選手が必要だと思います。

 精神的にも強い選手が、やっぱりヨーロッパで戦っていけるのかなと。特にアジアの選手に対しては、厳しい目を向けられる部分もたくさんあるので。ヨーロッパでプレーするためには、それを跳ね返していく選手が今後は必要だと思います。

――UAEでプレーする塩谷司選手の印象は? 中島翔哉選手はUAEで成功できますか? 何をチームにもたらせると思いますか?

 塩谷選手とは日本代表で一緒にやっていました。クラブワールドカップもそうですけど、いつも活躍しているのを見て、頑張っているなと刺激になっています。

 中島選手に関しては、本当に能力の高い選手で。個人的にはヨーロッパのトップリーグでもやれる選手だと思っています。もちろんUAEでも活躍できる選手だと思っています。自分の良さを最大限に出せるチームであれば、より輝くんじゃないかなと。とにかくドリブルであったり、1対1で絶大な力を持っている選手です。そこを理解してもらえることが、中島選手にとっては一番重要かと思います。それができれば、必ず活躍できます。

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著者プロフィール

東京生まれの神奈川育ち。桐光学園高‐早稲田大学文学部卒。幼稚園のクラブでボールを蹴りはじめ、大学時代よりフットボールライターを志す。2006年よりバルセロナ在住。現在はサッカーを中心に欧州のスポーツ取材に奔走しつつ、執筆、翻訳活動を続けている。生涯現役を目標にプレーも継続。自身が立ち上げたバルセロナのフットサルチームは活動10周年を迎えた。

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