俳優・和田正人が選ぶ箱根ベストオーダー 「エース区間は渡辺康幸さんに託したい」
【写真提供:ワタナベエンターテインメント】
1区・佐藤悠基(東海大)
東海大・佐藤悠基が打ち立てた1区の区間記録は、今でも破られていない 【写真:アフロスポーツ】
第83回(2007年)1時間1分06秒(区間新記録)
誰もが認める超実力派選手です。彼ほど1区で独走(区間2位に4分1秒差)した選手はおらず、類を見ないレベルの走りでした。あまりにもハイスピード過ぎて、終盤脚がつりそうになって、何度も足をたたきながら走っていたんですが、そのときのペースが2分50秒くらいなんですよ。ものすごい選手が出てきたなと、強烈な印象を受けました。しかも、箱根駅伝が高速化している今でも、まだ区間記録を保持している。彼にかなう選手はいないと思います。
2区・渡辺康幸(早稲田大)
「昔活躍した選手が最新のシューズを履いたらどうなるか」を考えるという和田さん。早稲田大・渡辺康幸は最もイメージが膨らむ選手だという 【写真:築田純/アフロスポーツ】
第71回(1995年)1時間6分48秒(区間新記録、当時)
第72回(1996年)1時間6分54秒(区間賞)
もはや選んだ理由の説明はいらないでしょう(笑)。日本人で初めて1時間6分台をマークしたのが渡辺さんです。僕が現役時代の1999年に三代直樹さん(順天堂大)がこの記録を抜き、2019年に塩尻和也選手(順天堂大)、そして2020年、相澤晃選手(東洋大)がさらに記録を更新しましたが、やはり渡辺さんの偉大さは別格だと思います。
最近、「昔の名選手が最新のシューズを履いたら、どんな記録をマークするのか?」と考えることがあるんですが、そのイメージを最も膨らませたくなるのが渡辺さんです。ポテンシャルの高さは群を抜いていたと思います。
3区・竹澤健介(早稲田大)
早稲田大・竹澤健介は「3区の価値を変えた選手」と熱く話す 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
第84回(2008年)1時間3分32秒(区間賞)
第85回(2009年)1時間1分40秒(区間新記録、当時)
実業団に行ってからは故障などもあって苦しんだ印象でしたが、学生時代の“ワセダの竹澤”は別格でした。3区といえば昔は1年生で力のある選手が起用される傾向にあり、最終的に故障で走ることはできませんでしたが、僕も1年時はこの区間にエントリーされました。
最近、3区は勝負のポイントとなって、1〜2区の遅れを取り戻す区間になっていますね。アドバンテージを作る区間として注目されるようになったのは、彼が走った影響が大きい。彼は3区の持つ意味や価値を変えてしまったんじゃないかと思います。
4区・藤田敦史(駒澤大)
長距離では学生界のエースとして君臨していた駒澤大・藤田敦史(右) 【写真は共同】
第75回(1999年)1時間0分56秒(区間新記録、当時)
当時の藤田さんは学生長距離界の絶対的なエースで、特にロードでは誰もかなわない印象でした。この大会で同じ区間を走っていた僕の母校・日大の塩見雄介さんもかなり良い走り(1時間4分06秒)をしたんですが、最終的には3分以上差をつけられてしまった。だからこそ、余計にすごさが際立つんです。
藤田さんのタイムは、第82回(2006年)から区間距離が18.5キロになったことで、参考記録になってしまいましたが、第93回(2017年)からまた20.9キロに戻ったことで、またスポットを浴びるようになりましたね。ここ2大会で相澤選手、吉田祐也選手(青山学院大)が藤田さんの記録を破りましたが、20年以上前の記録がようやく塗り替えられたことを考えても、藤田さんの強さは圧倒的だったと思います。
5区・柏原竜二(東洋大)
「山の神」と呼ばれる選手を生み出してきた5区。中でも東洋大・柏原竜二が残したインパクトは絶大だ 【写真:アフロスポーツ】
第85回(2009年)1時間17分18秒(区間新記録、当時)
第86回(2010年)1時間17分08秒(区間新記録、当時)
第87回(2011年)1時間17分53秒(区間賞)
第88回(2012年)1時間16分39秒(区間新記録、当時)
10区間の中で唯一、何の迷いもなく選びました。山のスペシャリストはこれまでもたくさんいて、“山の神”ブームを作った最大の貢献者は今井正人選手(順天堂大)で間違いないと思います。このフレーズができたことで、箱根駅伝の注目度は一気に高まりました。
ただ、3人いる山の神から1人だけ選べと言われたら、柏原さんしかいないと思います。神野大地選手(青山学院大)もすごかったけど、やはり4年連続区間賞、うち3回が区間新記録なんていう選手は他にいません。別格です。