俳優・和田正人が選ぶ箱根ベストオーダー 「エース区間は渡辺康幸さんに託したい」

田中葵

6区・小野田勇次(青山学院大)

山下りのスペシャリストと称された、青山学院大・小野田 【写真:日本スポーツプレス協会/アフロスポーツ】

同区間での実績
第92回(2016年)58分31秒(区間2位)
第93回(2017年)58分48秒(区間2位)
第94回(2018年)58分03秒(区間賞)
第95回(2019年)57分57秒(区間新記録、当時)


 下りのスペシャリスト・小野田選手は、これまでで最も下りがうまいと思った選手です。滑らかで美しさすら感じた彼の走りが好きでした。しかも4年連続で6区を走って、最後の大会で57分57秒の区間新記録をマークしている。彼も最新のシューズを手にしていたら、どうなっていたのかと考えてしまう選手の1人です。もしかしたら56分台も見えていたのではないか。そう思えるほど、ワクワクした選手でした。

7区・設楽悠太(東洋大)

東洋大・設楽悠太は卒業後もマラソンなどでトップクラスの実績を残している 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

同区間での実績
第88回(2012年)1時間2分32秒(区間新記録、当時)


 ここは設楽選手か林奎介選手(青山学院大)かで悩みました。僕はフォームフェチみたいなところがあるんですが、林選手が区間新記録を出した3年時(第94回、2018年)の走りがとても綺麗で、速いペースながら最後まで乱れず、格好いいなと思いました。

 設楽選手は学生時代もすごかったですが、2018年にマラソンで日本記録を更新するなど、日本の長距離界をけん引してきた大スターです。彼はどうしてもこのチームに加えたく、悩んだ末に設楽選手に決めました。

8区・古田哲弘(山梨学院大)

後世に長く残る区間記録を打ち立てた山梨学院大・古田哲弘 【写真は共同】

同区間での実績
第73回(1997年)1時間4分05秒(区間新記録、当時)


 この方も長らく8区の歴代最高記録に名を残し続けた、いわゆるバケモノですね(笑)。古田さんと日大の山本佑樹さん(現・明治大監督)は同学年で、同じ静岡県出身。ライバル関係にあった2人のことを間近で見てきたので、古田さんはとても印象深いです。

 古田さんのすごさは、自分でレースを作ることができるところにあります。最近は集団でレースを進め、勝負どころで出る展開が多いと思いますが、古田さんは自分でレースをガンガンに動かしながら、記録も残すことができる。第95回(2019年)大会で古田さんの記録を破った小松陽平選手(東海大)も素晴らしい走りを見せてくれましたが、1年生でありながら、単独走であの結果を残した古田さんの記録に偉大さを感じました。

9区・篠藤淳(中央学院大)

中央学院大・篠藤は9区の区間記録保持者。9区を2度走った経験がある和田さんは「どれだけすごいかがよく分かる」と語る 【写真:アフロスポーツ】

同区間での実績
第84回(2008年)1時間8分01秒(区間新記録)


 9区は僕も2回走ったことがあるので、篠藤選手の1時間8分01秒という記録がどれだけすごいかがよくわかります。

 僕は2年時に(第76回、2000年)9区を1時間13分16秒で走ったんですが、西田隆維さん(駒澤大)は1時間9分0秒の区間新記録をマーク。実に1キロ以上離されたことになります。4年時(第78回、2002年)は僕も1時間9分30〜40秒くらいで走れる自信はあったんですが、後半のガス欠もあって1時間10分52秒かかってしまい、西田さんの記録のすごさを痛感しました。この3年後、塩川雄也選手(駒澤大)が1時間8分38秒で走って、区間記録を更新。最近の9区を走る選手はすごいなと思っていたら、2008年に篠藤選手が出てきてこの記録ですから。

 篠藤選手はこれ以外で、箱根駅伝でインパクトのある活躍を見せることはできませんでした。しかし、調子がバッチリ合ったことで最高の結果を残し、人々の記憶に残る走りを見せた。箱根駅伝を目指す選手に大きな夢を与えた走りだったと思います。

10区・嶋津雄大(創価大)

10区には昨年区間新記録を打ち立てた創価大・嶋津を選んだ 【写真:松尾/アフロスポーツ】

同区間での実績
第96回(2020年)1時間8分40秒(区間新記録)


 ここは現区間記録保持者の嶋津選手に決めました。今年の箱根駅伝では区間賞を獲得した10人の中で、彼だけが違うシューズを履いていたことでも話題になりましたね。彼の走りにはインパクトがあったし、1時間8分40秒はとてつもない記録です。アンカーは1、2キロくらい前後と離れていることがあるのに、自分のペースを乱すことなく、この記録をたたき出すことができた。力のある証拠です。

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著者プロフィール

1980年10月5日長野県生まれ。高校・大学は陸上部所属(長距離・競歩)。東海大学在学中よりフリーライターとして陸上競技、ウインタースポーツなど、アマチュアスポーツを中心に取材する傍ら、取材日以外は自らもサブスリーランナーとして、大手スポーツショップでランニング用品の接客を行う顔も持つ。現在は主に「月刊陸上競技」に寄稿。

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