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箱根駅伝、応援自粛に地元は複雑な思い
5・6区宮ノ下の名物イベント主催者に聞く
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、応援自粛が呼びかけられている箱根駅伝。名物である箱根・宮ノ下の応援イベントの対応を主催者に聞いた
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、応援自粛が呼びかけられている箱根駅伝。名物である箱根・宮ノ下の応援イベントの対応を主催者に聞いた【写真:日本スポーツプレス協会/アフロスポーツ】

 毎年1月2日、3日に行われ、新春の風物詩となった箱根駅伝。山上りの5区と下りの6区のコースが通る箱根宮ノ下では、例年応援イベントが開催され、大学名ではなく選手の個人名で声援を送る「宮ノ下スタイル」と呼ばれる応援で知られている。


 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、応援自粛が呼びかけられる中、宮ノ下の人たちはどのように箱根駅伝を迎えようとしているのか。ユニークな応援スタイルに込められた想いやその舞台裏、そして自粛要請への対応など、宮ノ下で4代続く「嶋写真店」の店主であり、箱根駅伝歓迎イベント実行委員長を務める箱根宮ノ下商店会の嶋幸嗣さんに話を聞いた。

町おこしから始まった応援イベント

――「宮ノ下スタイル」の応援が始まったのはいつ頃、どんなきっかけだったのですか?


 もう25年ぐらい前になると思います。町おこしというか、町をアピールするために何かやろうじゃないかという動きが商店会でありまして、当時行動力があった若い世代で構成されたグループ、私もそのメンバーに入っていたのですが、「ネクスト」というグループがそれを考えることになったんですね。みんなで話をして、「じゃあ箱根駅伝に関連づけたイベントをやりましょう」となりました。


――箱根駅伝をテーマにしたのには何か理由があったのでしょうか。


 いろいろと調べていたところ、たまたま昔の駅伝の写真が出てきたんです。富士屋ホテルの駐車場に、大学名の入った大きな短冊のような応援旗が掲げられている光景でした。それを見て、まずはこれを再現する感じでやってみようじゃないかと。それが始まりです。

毎年作成している手作りの応援旗。約100枚が新春の宮ノ下を彩る
毎年作成している手作りの応援旗。約100枚が新春の宮ノ下を彩る【写真提供:箱根宮ノ下商店会】

――応援旗は今も続いていますね。


 そうです。ただ書いてあるのは大学名じゃなくてメッセージ。みんなから駅伝に対するメッセージを募集しまして、それを手書きで書き込んで毎年毎年何百枚もの応援旗を作ってきました。最近は枚数を減らして100枚程度になっていますけどね。


――他にも宮ノ下名物がたくさん生まれています。


 応援旗以外に何ができるだろうかと話し合って、大鍋のように食べ物を振る舞うのはどうかと。ただ、大鍋ではありきたりなので、宮ノ下らしい独自のものをということで作ったのが「宮ノ下シチューパン」です。ここは地場産業がないので、知恵と工夫で何か名物を生み出したかったんですよ。パン屋さんにお願いして、フランスパンをくり抜いた器を作ってもらい、そこに我々で作ったブラウンシチューを入れたものを配ってみたら好評でね。応援メガホンも毎年1000個無料配布しています。関東学連(関東学生陸上競技連盟)に所属している大学の名前を、箱根に出場しない大学も含めすべて入れて、前年の優勝校のチームカラーで作っているんです。

前回大会の優勝校のカラーで作られる応援メガホン。関東学連に加盟する全大学の大学名が印刷されている
前回大会の優勝校のカラーで作られる応援メガホン。関東学連に加盟する全大学の大学名が印刷されている【写真提供:箱根宮ノ下商店会】

――そして「宮ノ下スタイル」の代名詞と言えば、選手名での応援ですよね。


 そうですね。ただ単に「がんばれ、がんばれ」じゃ面白くないっていうことで考えたのが、選手の個人名で応援するという方法でした。他の場所では大学名での応援も多いと思いますが、ここではあくまで個人名にこだわっています。宮ノ下に入ってくる手前のところにスタッフを置いて、選手が見えてきたら、例えば「次は青山学院大学の神野君が入ってきます!」と各応援スポットに情報を一斉に入れる。宮ノ下に数カ所ある応援スポットにはそれぞれ「音頭リーダー」という役割の者がいて、「神野君が入ってきます、神野コールお願いします」と言って沿道の人たちを促す。だから、選手が宮ノ下を通る時はずっと自分の名前を呼ばれていることになるんです。


――大学名ではなくてあえて個人名にこだわった理由は?


 あくまでも走っている選手を応援したいという想いです。沿道にいる方たちだって、選手の名前を知らなければ大学名で応援してしまいますが、本当は目の前を走っている個人を応援したい人が多いと思うんです。選手に対してもその方がより応援する気持ちが伝わるんじゃないかと思っています。


――ちなみに、嶋さんご自身が今までで一番印象に残っている選手は?


 やはり、今井正人選手(順天堂大、現トヨタ自動車九州)から始まる歴代の山の神(※)でしょうか。「神」と言われるだけあって本当に速い。スピードが全然違いますから。


※編注:今井選手、柏原竜二選手(東洋大)、神野大地選手(青山学院大、現セルソース)

東海林美佳
東海林美佳

ランニングとトライアスロンにハマってしまったフリーランスエディター。一般女性誌やライフスタイル誌、スポーツ誌など幅広いジャンルを手がける。アイアンマンハワイをはじめ、海外レース、海外選手の取材多数。

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