箱根駅伝、応援自粛に地元は複雑な思い 5・6区宮ノ下の名物イベント主催者に聞く

東海林美佳

応援自粛を知らずに来る人に、対応どうすれば

毎年、地域や宮ノ下にかかわりのある有志が協力して運営してきた。嶋さんにとって、箱根駅伝は“年中行事”だという 【写真提供:箱根宮ノ下商店会】

――この歓迎イベント実行委員会は何名ぐらいで運営されているのでしょうか?

 当日は30名以上が関わっています。商店会のメンバー以外にも、例えば宮ノ下出身で今は別の場所に住んでいる人とか、その友達で箱根駅伝が好きな人まで。宮ノ下に何らかの形で関わっている人間が集まって盛り上げてくれています。

――今回の応援自粛についてはどういった対応をされる予定ですか?

 主催者側から「応援もイベントも一切やらないでほしい」というお達しが出ているので、今大会は何もやりません。当日もそうですけど、事前から掲げている応援旗も今回は出さないんです。

――いつもと違った風景になりそうですね。

 まあそうは言っても、私たちが何もしなくても人は来てしまうと思うんです。応援自粛ということを知らずに箱根に来る人もいるわけですから。目の前を選手が走っていれば応援もしたくなるでしょう。一方で大声で応援されたら、周りの人たちは不安感を持つ。そのあたりをどうするのか。現時点では答えは出ていないんです。せめて「応援するなら拍手だけ」など、正しい応援方法を観客に伝えなければいけないと思うのですが……。テレビなどでもっと言ってくれればと思うんですけどね。

――地元のみなさんはどのように受け止めていらっしゃいますか?

 私たちは観光客を増やすためにこのイベントをやっているわけではないんですね。観戦にいらっしゃる方に何かしてあげたい、という気持ちからやっていることなんです。今回事情を知らずに宮ノ下にいらっしゃる方もいると思いますが、その方たちに一切何もしてあげられないというのを心苦しく感じています。

――最後に、宮ノ下に生まれ育った嶋さんにとって、箱根駅伝とは?

 年中行事ですかね。もちつきみたいなものです。25年応援イベントに関わってきているので、箱根駅伝が終わらないと正月は来ない、みたいな感覚になっています。私たちがやっていることは、“箱根駅伝の応援”ではないんです。“箱根駅伝を応援する人の応援”。つまり、応援の人がいなければ、私たちのイベントをやる意味がない。早くコロナがおさまって、本来の形で心置きなく選手たちを応援できる日が来ることを願っています。

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著者プロフィール

ランニングとトライアスロンにハマってしまったフリーランスエディター。一般女性誌やライフスタイル誌、スポーツ誌など幅広いジャンルを手がける。アイアンマンハワイをはじめ、海外レース、海外選手の取材多数。

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