連載:高校サッカー選手権 あのヒーローはいま

選手権制覇に天皇杯で横浜FMを追い込む カレン・ロバートが語る市立船橋時代

栗原正夫
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国見の3連覇を止めた2年時の優勝はいい思い出

高校2年時に選手権優勝を果たし、その後もJリーグや海外で活躍したカレン・ロバート。当時の思いを振り返ってもらった 【写真:アフロスポーツ】

「やっぱり優勝した2年のときの方が、印象が強いですね。国見(長崎)との決勝の前は、セットプレー時の平山(相太)の動きを延々とビデオで見て、研究したのを覚えています。終わってみれば、国見に押されていた時間が長かったですが、マークについていた増嶋(竜也)も平山に競り負けていなかったですし守り勝ち。得点も小川さん(佳純)のすごい一発でしたしね。布(啓一郎)先生(監督)の最後の年というのもありましたし、優勝できたのはいい思い出です」

 カレン・ロバートは少し懐かしそうに、市立船橋の2年時に優勝した02年度の選手権をそう振り返る。

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 決勝はそれまでの4試合で7得点を挙げるなど2年生ながら絶対的エースの平山を擁し、戦後初の3連覇を目指す国見の前に、堅守速攻スタイルの市立船橋が立ちはだかった格好となったが、改めて両チームのメンバーを眺めると、その後Jリーグ入りした選手が多くいたことがわかる。

 国見の3年生には柴崎晃誠(現サンフレッチェ広島)に渡邉大剛(現品川CC横浜)、巻佑樹(元名古屋グランパスなど)らがいて、2年生には平山(元FC東京)のほか、兵藤慎剛(現ベガルタ仙台)、中村北斗(元アビスパ福岡)ら。一方その国見を封じた市立船橋には大久保裕樹(元栃木SCなど)、青木良太(元ジェフ千葉など)、小宮山尊信(元川崎フロンターレなど)、増嶋(元ジェフ千葉など)の4バックのほか、中盤には小川(元名古屋など)と鈴木修人(元栃木SCなど)がいて、2トップはカレンと原一樹(現おこしやす京都AC)という豪華な顔ぶれだった。

 だが、カレン曰く、その年の市立船橋はのちのJリーガーを多く擁していたものの、なかなか思い通りの結果が出ず、最後になんとか花が咲くという苦しい代だったという。

「インターハイは県予選で負けて、高円宮杯も1回戦で負けていましたからね。準々決勝の野洲戦(滋賀)に勝てたのがターニングポイントでした。チャンスがあったなか、点が取れずにロスタイムにカウンターから鈴木が難しいシュートを決めて、なんとか1-0で勝って。あれで勢いに乗りました。市船は伝統的にPK戦に弱いですから、あそこでPK戦になっていたらどうだったか(苦笑)」

天皇杯の躍進の裏で、コケた3年時の選手権

唯一高校生チームとして出場した2003年の天皇杯。PK戦の末チームは敗れるも注目を集めた 【写真は共同】

 1年の夏からレギュラーに定着し、冬の選手権には3度出場した。しかし、カレンにとって選手権はどうしても行きたい場所かと言えば、そんなこともなかった。
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著者プロフィール

1974年生まれ。大学卒業後、映像、ITメディアでスポーツにかかわり、フリーランスに。サッカーほか、国内外問わずスポーツ関連のインタビューやレポート記事を週刊誌、スポーツ誌、WEBなどに寄稿。サッカーW杯は98年から、欧州選手権は2000年から、夏季五輪は04年から、すべて現地観戦、取材。これまでに約60カ国を取材で訪問している

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