連載:#BAYSTARS - 横浜DeNAベイスターズ連載企画 -

井納翔一、DeNAベイスターズの歴史と共に 34歳はベテランの役割を「求めていない」

村瀬秀信

ベイスターズの歴史の陰に井納あり

 横浜DeNAベイスターズになって1年目の2012年、ドラフト3位で入団した。14年には待望の二ケタ勝利。初のCS、初の日本シリーズでは第1戦の先発を務め、開幕投手が離脱しての代理開幕投手も務めるなど、チームのために尖兵(せんぺい)となって道を拓いてきた。

 そんな行いが野球の神様に評価されたのか、球団通算4000勝目も5000敗目も責任投手となる(ともに2019年)神懸かり的な運も持つなど、ベイスターズの歴史の陰に井納あり、ともいうべきキャリアを積んできている。

DeNAベイスターズの歴史とともに歩んできた井納(写真左)。球団通算4000勝と5000敗の責任投手になるなど、チーム史に残る右腕だ 【(C)YDB】

「ベイスターズもここ数年で、若い選手が主体になってきましたが、これは選手だけじゃなくてスタッフの人たちもそうですし、何より球団の考え方が今の時代に合わせたような発想でチームを作っているんだなと思うことがたくさんあります。

 たとえば移動の時に他のチームは全員スーツでそろえていますけど、ベイスターズは私服でいい。でも見られても恥ずかしくない“しっかりした”私服ですよ。やるべきことを守ってさえおけば、今の世の中の流れに合ったような柔軟な考え方ができる。もちろん、オーナーや球団社長たちの理解があった上でのことなんですけど、そこに選手たちも感謝があるから、最低限のルールはしっかり守るというような、良い循環ができているんだと思います。入団してから年を追うごとにチームも勝てるようにもなってきましたからね」

 なんとなく、井納のスタンスと似ているような気がしてくるではないか。

 さらに井納と同い年の石川にしたって、金髪ライオンヘアーをなびかせて誰よりも若々しくあるし、さらにラテンノリのチャモさんに、いつもニコニコな藤岡さんである。このチームの明るさと、隔たりのなさ。彼らが作り出す異色のベテラン感は、ちょっと面白い。

DeNAベイスターズになってからチームと歩みを共にしてきた井納だが、ここ数年は結果を残せていない。今季は勝負の年だと意気込んでいた 【岡本範和】

 だが、入団以来ベイスターズの先発ローテに名を連ねてきた井納も、チームの勝ちが増えていくにつれて、若い投手が次々と台頭し、そのポジションが安泰とはいえなくなってきていた。2018年に先発として意気込むも、チーム事情から中継ぎに転向。秋には再転向したが、右ひじを手術。昨年も手術の影響で調子が上がらず、4勝5敗と不本意な成績に終わっていた。

「そうですね。この2年間は僕自身も結果が出ていなかったですからね。そういう意味では年齢的にも、生き残るためには、今シーズンに結果を残さなければいけないという思いが開幕前から強かったですね」

 井納にとって、2020年は勝負の年だった。

※リンク先は外部サイトの場合があります

2/2ページ

著者プロフィール

1975年8月29日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。プロ野球とエンターテイメントをテーマにさまざまな雑誌へ寄稿。幼少の頃からの大洋・横浜ファン。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント