「品がない」「最善のルート」…大谷の打撃を司る、魅惑的な言葉たち
それらはときに腑に落ち、ときに謎めき、ときに詩的。一字一句を細かく解説するわけではなく、解釈を人に委ねたり、そもそも投げっぱなしのときもある。「今のは、どういう意味なのか?」。そう考えているうちに話は次へ。改めて意味を問うまでの時間がもどかしい。
今回、そうした言葉に向き合い、打者・大谷の目指すところを読み解いていく。
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今季初の柵越えには、情報が詰まっていた
大谷の言葉は魅惑的だ。ときに腑に落ち、ときに謎めき、ときに詩的である 【Getty Images】
紅白戦2試合目――。実戦では昨年9月11日(現地時間、以下同)以来、オープン戦も通じて今季初の柵越えには、情報が詰まっていた。
ただ、それを説明するには、少々回り道が必要だ。
振り返ると今年のスプリングトレーニングでは、打撃練習でさえ満足な打球が打てず、2月25日の試合からオープン戦に出場したが、初戦では2打数ノーヒット1死球に終わった。
試合途中で退いた後、キャンプ序盤でもあるだけに、結果にとらわれず理想に寄せようとしているのか、あるいは日々、コアな部分は残しつつ、取捨選択を重ねているのかと問うと大谷は、「どっちもですね」と応じ、現在地を説明した。
「自分の良さというか、打球方向だったり、打球の角度だったり、小さいときからやってきて一番力の出やすい軌道というのがあるので、今の段階ではどっちも試しながら、やっぱり“ずらさないところは、ずらさないほうがいいよね”というところはあるかな」
それがセンターから左中間への打球であり、飛距離も一番出る。大谷の打撃の根幹をなすものだが、あの頃は打撃練習でさえそんな軌道が出ず大谷は「軌道がずれている」と首を傾げた。そして、続けた短い言葉の中に、彼が貫く独特の価値観がにじんだ。
「品がない」
結果にもそのことは如実に現れ、オープン戦では中断するまで9試合に出場し、19打数2安打、11三振、打率.105、長打ゼロ。軌道修正は長引いた。
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